夏合宿の夜、テン場の外れで現役2年生と鉢合わせた記録
8月11日、晴れのち夜半からガス。北アルプスでのサークル夏合宿にOBとして同行した時の記録である。テン場着15:40、夕食のジフィーズ18:00、就寝20:30。事件は23:10に起きた。いつもと違う夜の出来事。
小用に起きた自分は、ヘッデンを点けてテン場外れの岩陰へ向かった。トイレは小屋まで往復15分、深夜は皆この岩陰を使うのが暗黙の了解だった。山での自然は容赦がない。夜気は冷たく、息が白く見えるほどだった。岩を回り込んだ瞬間、先客がいた。驚きと戸惑いが同時に押し寄せた。
現役の2年(女子、20歳)が、完全にしゃがんでいる姿勢である。ショートカットの髪、上下ともに合羽姿で、下だけをずらしている。ヘッデンの光がもろに当たった瞬間、彼女の顔が強張るのが見えた。目が一瞬、点のようになった。その表情は驚きを通り越して、恐怖にも似てた。
「うわ」「うわ」とお互い声が出た。彼女は夕食のレトルトカレーにあたったらしく、緊急事態だったとのこと。自分はすぐ光を外して離れたが、風向きの関係で状況はだいたい把握できてしまった。妙な緊張と気まずさで、心臓が普段より早く打っていたのを覚えている。その時の彼女の息づかい、その全てが脳裏に焼き付いた。
翌朝5:30の朝食時、彼女は自分と目を合わせなかった。頬がまだ赤らんでいるように見えたが、疲労のせいだろうと自分に言い聞かせた。ご飯を口に運ぶ手の動きも、いつもより控えめだった。目玉焼きにも箸をつけてない。陵線に出る頃には普通に会話していたが、下山まで岩陰の話は誰もしなかった。山では誰にでも起こることである。それが暗黙の了解だった。記録として残す。
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