体育祭の長い開会式
初夏の強い日差しが照りつける6月の午前9時、学校のグラウンドでのことだ。私は全校生徒が整列する体育祭の長い開会式に参加していた。 最初の異変は、式の直前に冷たい水をお腹いっぱい飲んでしまったことによる、下腹部を突き刺すような尿意だった。 「開会式が終わるまであと20分。それくらいなら耐えられるはず」 しかし、それが最悪の選択だった。
グラウンドの上に立ち尽くす中、日差しは強くても足元からはじわじわと冷気が上がってくるように感じられた。 校長先生の挨拶が長引くにつれ、小康状態だった尿意が猛烈な第2波となって膀胱を襲った。 全身から冷たい汗が吹き出し、立っているだけでめまいがするような鳥肌が立つ。
周囲には全校生徒と教師、さらには保護者たちがずらりと並んでおり、この厳粛な雰囲気の中で列を離れてトイレに行くことは極めて困難だった。 「ここで漏らしたら、学校中の笑いものになる……」 恥ずかしさと強烈な焦りから、心臓が耳の奥でうるさいほど鼓動を刻み始めた。
私は体操服のショートパンツの中で、両足をクロスさせて太ももをきつく押し付け合った。 波が襲ってくるたびに、括約筋にこれまでにない力を込め、頭の中で必死に神に祈り続けた。 膀胱がはち切れそうなほど膨らみ、少しでも重心を動かせば決壊してしまいそうなスリルに、頭の芯が痺れる感覚があった。
ようやく開会式が終了し、退場の行進曲が鳴り響いた瞬間が最大のピンチだった。 一歩を踏み出す時の振動が限界の膀胱をダイレクトに刺激し、私は内股のまま走るような、いや、這うような足取りで列を抜け、校舎のトイレへと死に物狂いで駆け込んだ。 個室に入って便座に腰を下ろし、熱い液体が勢いよく解放された瞬間の、あのとろけるような快感。
今でもブラスバンドの行進曲を聴くたび、あの夏の終わりのような日差しと、限界の尿意に震えていた股の奥の痛みを思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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