密室会議の冷や汗
秋も深まる10月の午後3時、私は自社の役員も出席する重要な新プロジェクトのプレゼン会議に出席していた。進行を務める私の目の前には、重苦しい空気が流れる長テーブルが広がっている。 最初の異変は、会議が始まって30分が経過した頃だった。下腹部の奥深くがギューッと雑巾を絞られるように収縮し、冷たい汗が背筋を一気に駆け下りた。 昼食に食べた激辛のカレーが、最悪のタイミングで私の腸内で暴れ始めたのだ。
「嘘でしょう、今この状況で……?」 冷房が効いているはずの会議室の中で、私の体感温度は一気に上昇した。額からじんわりと脂汗がにじみ出し、プレゼン用のスライドを握る指先が小刻みに震え始める。 ここで「お手洗いに」と退室することは許されない。役員たちが鋭い視線を注いでおり、私の説明の一言一部を聞き漏らすまいとしているのだ。この社会的な立場と責任が、私をプレゼン台の後ろに強固に縫い付けていた。
便意の波は容赦なく押し寄せる。第一波が引いたと思ったのも束の間、より強烈な第二波が這うようにして下半身を支配した。 私はオフィスカジュアル of 黒いセンタープレスパンツの中で、お尻の括約筋をこれでもかと締め上げ、両足の太ももをきつく交差させた。 姿勢を良く見せるためのヒールのあるパンプスが、今は拷問器具のようだった。重心をどちらかの足にかけるたび、下腹部に激しい差し込みが走り、声が震えそうになる。 「大丈夫、あと15分。資料の説明さえ終われば……」と脳内で必死の自己交渉を試みるが、腸は私の意思を裏切るようにゴロゴロと不穏な音を立てていた。
息を吸うのも苦しくなり、私は説明の合間に「ええと、次のスライドですが……」と不自然な沈黙を挟まざるを得なかった。 顔面は蒼白になり、きつく噛み締めた唇からは赤みが消えて白くなっていた。手元のレーザーポインターを握る手汗がプラスチックの筐体を滑り、緊張は限界に達していた。 もし、この場で決壊してしまったら。キャリアもプライドもすべて失うという恐怖が頭をよぎり、心臓が耳元でうるさく脈打った。恥ずかしさと絶望が混ざり合い、頭がどうにかなりそうだった。
ようやくプレゼンが終了し、質疑応答の時間に入った。私は質問に答えながらも、下半身の筋肉にすべての意識を集中させていた。 膝ががくがくと震え、立っていることすら奇跡に近い状態だった。 会議が終了したと同時に、私はノートPCを素早く抱え、早足でありながらも不自然にお尻をかばう歩き方で、フロアの最果てにある多目的トイレへと向かった。 重い扉を開け、個室の鍵を閉めて便座に滑り込んだ瞬間、全身の筋肉が融解するように弛緩した。 あの時の冷や汗の匂いと、ギリギリで保った尊厳のスリルは、今でも重要な会議の資料を作るたびに私の股の奥をキュンとさせる。
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