西日の差し込む進路指導室
木枯らしの吹きすさぶ11月の午後4時半過ぎ、暖房が効きすぎた進路指導室でのことだ。私は三者面談の順番を待つため、廊下の長椅子に腰掛けていた。面談室のすりガラスの扉越しに、中で先生と対峙しているクラスメイトの佐々木さんの姿が影となって見えていた。しばらくすると、彼女が不自然な体勢で面談室から出てきて、私の隣の椅子に腰掛けた。次の面談までの待機時間だったが、彼女の様子は明らかに異常だった。
彼女は学校指定のベージュのブレザーに、緑色のチェック柄プリーツスカート、そして黒のタイツとハルタの茶色いローファーを履いていた。髪は高めのツインテールにまとめられていたが、頭を小刻みに動かすたびにその結び目が揺れていた。彼女の額や鼻先には、暖房の熱気と焦りによる大量の冷や汗がにじみ、せっかくの薄化粧がヨレて目の周りが黒く滲んでいた。右手はカバンのストラップを千切らんばかりに握りしめており、白くなった指先が小刻みにカタカタと震えていた。
タイツに包まれた彼女の両脚は、内ももをこれでもかと密着させ、膝と膝を押し付けるようにして激しく震えていた。 「あと、あと15分……全体説明会が始まるまで……」 彼女はスマートフォンの画面を凝視しながら、小さく唇を動かして交渉を繰り返していた。試験前に飲んだ冷たいスポーツドリンクが、進路指導室の長い待ち時間の間に彼女の膀胱を限界まで膨らませていたのだ。ここでトイレに立ち上がれば、廊下に響くローファーの足音で全員の注目を浴びてしまう。その社会的なプレッシャーが彼女を席に縛り付けていた。
尿意の第二波が襲ったとき、彼女は「ひっ……」と息を呑み、上体を折り曲げて下腹部をカバンで強く押し潰した。 足元はつま先立ちになり、ローファーの底が床と擦れて不快な音を立てていた。恥ずかしさと、周囲に人がいる中で限界を迎えているという恐怖が混ざり合い、彼女の顔は真っ赤に変色していた。心臓がうるさく鼓動を刻み、喉が乾いて息が荒くなっていた。
限界の第三波が彼女を襲った。彼女はついに椅子の上で体をよじり、涙を流しながら両手で股間を上から強く圧迫した。 面談室の扉が開いた瞬間、彼女は弾かれたように立ち上がったが、その脚は完全に笑っており、手すりにすがりつきながら不自然な内股で女子トイレへと消えていった。今でも進路指導室のすりガラスを見るたび、あの夕暮れ時の焦燥と彼女の震える背中を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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