真夏の音楽フェスの熱狂と限界
炎天下の強い日差しが照りつける8月の中旬の午後3時、私は都内で開催された屋外音楽フェスの会場にいた。ステージからの大音響と、集まった数万人の熱気の中で、私の体に最初の異変が訪れた。下腹部をじわじわと突き刺すような、明確な尿意だった。熱中症対策のために大量のスポーツドリンクを冷たいまま一気飲みしたことが、この猛暑の中で裏目に出たのだ。
私はその日、短いデニムのショートパンツに、白いタンクトップ、そして腰にはチェック柄のネルシャツを巻き、足元は履き慣れたスニーカーを履いていた。髪は左右に分けた編み込みのツインテールにしていたが、尿意の焦りによる冷や汗と夏の熱気で、額のメイクはドロドロに崩れ、頬に貼ったグリッターシールが汗で浮き上がっていた。簡易トイレの前にできた50人以上の果てしない行列を見て、私の顔からは完全に血の気が引いた。周囲は遮るもののない広場で、この状況で列を抜ければ近くに隠れる場所はない。この社会的羞恥心が、私を列に縛り付けていた。
私は腰に巻いたシャツをギュッと掴み、スニーカーを履いた両足を交差させて内ももを激しく擦り合わせた。つま先立ちになり、お尻の括約筋を極限まで締め上げることで、尿意を逃がそうと必死だった。 「あと、あと何人? お願いだから早く進んで……」 脳内で何度も列の進み具合と時間を計算したが、列は牛の歩みのようにしか進まない。尿意の第二波は容赦なく押し寄せ、膀胱が決壊寸前の風船のようにパンパンになっているのがリアルに感じられた。
尿意の第三波が襲ったとき、あまりの激痛に私はその場にしゃがみ込みそうになった。 「っ、くぅ……!」 声を出さないように歯を食いしばるが、あまりの痛みに涙が目尻からこぼれ落ちた。もしここで漏らしてしまえば、お気に入りのショートパンツに大きなシミが広がり、何万人もの前で一生消えない恥を晒すことになる。その恐怖が心臓を激しく打ち鳴らし、耳の奥がカッと熱くなった。
ようやく私の番が回ってきた瞬間、私は倒れ込むようにして簡易トイレのドアを開け、すべてを解放した。温かいものが勢いよく放出された瞬間の、全身の力が抜けるような圧倒的な解放感。今でもフェスの大音響を聴くたび、あの時の冷や汗の冷たさと、股の奥がキュンとすくむ焦燥感を思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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