静寂の書道教室の試練
凍てつくような1月の午後2時前、高校の書道教室で行われていた新春書き初め大会でのことだ。室内は墨の香りが漂い、生徒全員が全神経を集中させて半紙に向き合っていた。最初の異変は、私が「新春の光」という文字の二文字目を書き始めた頃だった。下腹部の奥深くがギューッと雑巾を絞るように激しく収縮し、冷たい汗が背中を一気に駆け下りた。昼休みに食堂で食べた冷たい牛乳と辛いカレーが、この最悪のタイミングで私の腸内で暴れ始めたのだ。
私はその日、学校指定のセーラー服に、濃紺のプリーツスカート、そして黒のハイソックスとローファーを履いていた。長い髪は後ろできっちりと三つ編みに結んでいたが、腹痛による冷や汗で額の生え際が濡れ、前髪が額にはりついてしまった。メイクはしていなかったが、あまりの激痛に顔面は完全に土気色になり、唇は噛み締めすぎて端から白くなっていた。大筆を握る右手は、手汗で滑りそうになり、指先がカタカタと震えて半紙の上に墨がぽつりと滲んだ。
スカートの下でお尻の括約筋を極限まで締め上げ、両膝を限界まで密着させて内側に折り曲げていた。床の上で正座した姿勢を維持しようとしたが、足元は小刻みにがくがくと震えていた。 「あと、あと10分……この作品を書き終えて提出するまで……」 頭の中で残りの時間を逆算し、必死に自分と言い訳を交わした。しかし、便意の第二波は容赦なく私の内臓を掴み、ゴロゴロと不穏な音を立てて波打った。書道教室は咳一つ響かない無音の空間。今立ち上がれば、周囲の視線が一斉に自分に集まる。その社会的な檻が私を座席に縫い止めていた。
便意の第三波が襲ったとき、あまりの激痛に私の背筋はピンと跳ね上がり、声が一瞬途切れた。 私は筆を持つ手が震えるのを必死に抑え、左手は畳の下で太も目の皮膚を強くつねって痛みを散らそうとした。恥ずかしさと、静まり返った教室の中で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が頭を真っ白に染め上げ、心臓は早鐘のように脈打っていた。耳の奥が熱くなり、自分の荒い呼吸音だけが大きく聞こえる。
書き終えた半紙を放り出すようにして提出した瞬間、私はお尻を不自然にかばう内股の歩き方で廊下へ飛び出し、女子トイレへと滑り込んだ。便座に座ってすべてを排出した瞬間の、魂が抜けるような熱い解放感。今でも墨の香りを感じるたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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