桜舞う入学式の長すぎる祝辞
桜の花が美しく咲き誇る4月の午前10時過ぎ、高校の体育館で行われていた入学式でのことだ。厳かな空気のなか、新入生全員が背筋を伸ばしてパイプ椅子に座っていた。最初の異変は、式が始まって20分が経過し、校長先生の祝辞が始まった頃だった。下腹部にツンと走った明確な尿意が、寒々しい体育館の空気の中で急激に膨らんでいったのだ。式典への緊張から、開始前に温かいお茶を多めに飲んでしまったことが災いしたのだ。
私はその日、おろしたての紺色ブレザーに、まだ折り目の新しいグレーのプリーツスカート、黒のハイソックスと革のローファーを履いていた。長い髪は後ろできっちりと三つ編みに結んでいたが、尿意の焦りによる冷や汗で額の生え際が濡れ、前髪が額にはりついてしまった。顔面からは血の気が引き、きつく噛み締めた唇からは赤みが消えて白くなっていた。膝の上に置いた両手は、手汗で滑りそうになり、指先がカタカタと震えていた。
新入生の最前列に座っているため、ここで席を立って退席すれば、数百人の保護者や上級生、先生方の前で一生消えない恥を晒すことになる。その社会的圧力が私をパイプ椅子に縫い止めていた。スカートの下で内ももをこれでもかと密着させ、両膝を限界まで押し付け合うようにして激しく震えていた。ローファーの中でつま先を丸めているらしく、足先が不自然に丸まり、がくがくと震える足元を交互に動かしていた。
尿意の第二波が去ったのも束の間、来賓の長い祝辞が続く中、より狂暴な第三波が押し寄せたとき、私は思わず「くっ……」と声を漏らしそうになった。下腹部を走るズキズキとした激痛に耐えかねて、私は椅子の上で何度も腰を浮かせ、背筋を限界まで反らせて息を整えた。恥ずかしさと、式典の真っ只中で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が頭を真っ白に染め上げ、心臓は早鐘のように脈打っていた。耳の奥が熱くなり、自分の荒い呼吸音だけが大きく聞こえる。
入学式がようやく終了し、新入生退場の号令がかかった瞬間、私は立ち上がろうとしたが、腰が引けた内股のままその場で凍りついた。両手でスカートの上から股間を強く圧迫し、がくがくと震える足元を支えながら、這うようにして体育館裏の女子トイレへと消えていった。すべてを解放した時の天国のような心地よさ。今でも入学式の看板を見るたび、あの時の冷たい汗と、股の奥がキュンとすくむ焦燥感を思い出して胸が熱くなる。
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