放課後の進路指導室
夕暮れ時の10月半ば、午後5時半を過ぎた高校の校舎の片隅にある進路指導室でのことだ。外の気温は13度まで下がり、すきま風が入る窓からは冷たい秋風が吹き込んでいた。私は推薦入試の志望理由書を提出し、担任の三島先生と一対一で進路面談を行っていた。最初の異変は、面談が始まってから20分ほど経った頃だった。下腹部の奥深くで、ツンと冷たい尿意の針が突き刺さるような感覚を覚えたのだ。面談の直前に、緊張を紛らわせようとして自動販売機で冷たい缶コーヒーを一気に飲み干してしまったことが完全に災いした。
私はその日、学校指定の濃紺のウールブレザーにグレーのプリーツスカート、そして柔軟で伸縮性のある薄手の黒のニットタイツを穿いていた。髪はきっちりと一本の三つ編みに編み込み、前髪はピンで留めていたが、尿意の波が来るたびに額からにじみ出る嫌な脂汗のせいで、おでこに髪がペったりと貼りついていた。手元にはクリアファイルを持っていたが、それを握りしめる両手は緊張と冷えで真っ白になり、指先が小さくカタカタと震えていた。面談室のパイプ椅子の上で、私の脚は無意識のうちに内もも同士を強く密着させ、両膝を限界までくっつけていた。
「この自己アピールの段落なんだが……」と三島先生が赤ペンを動かしながら長々と話し込む間、私の頭の中は限界を迎えつつある膀胱のことで完全に支配されていた。「あと何分かかる? 先生の話はいつも長い。ここで遮ってトイレに行くなんて言ったら、内申点に響くかもしれない……」。そんな自意識と社会的な重圧が、私をパイプ椅子という名の拷問器具に縫い付けていた。尿意は波となって容赦なく押し寄せた。第二波が去り、より凶暴な第三波が這うようにして下半身を支配し始める。
私はタイツの中で両太ももをきつく擦り合わせ、ローファーの中で足の指先を力任せに丸め込んだ。膝同士を限界まで密着させ、交互に少しずつ持ち上げるようにして膀胱への圧力を散らそうとするが、お腹に走る激痛で顔が不自然に引き攣り、唇を噛み締めすぎて端から血が滲みそうだった。「っ、ふぅ……」と、熱い吐息がこぼれる。三島先生が「どうした、体調が悪いのか?」と覗き込んできたが、私は「いえ、大丈夫です!」と引き攣った笑顔で答えるしかなく、恥ずかひさとスリルで心臓が耳元でうるさく脈打っていた。
ようやく面談が終わり、立ち上がろうとした瞬間、膀胱への圧力が一気に変わり、私は内股のままその場に凍りついた。両手で必死にスカートの上から股間を強く押し当て、がくがくと笑う膝を支えながら、何とかすり足で指導室を脱出した。廊下を這うように歩き、女子トイレの便座に座って温かいものが一気に解放された瞬間、涙が溢れ出た。今でも放課後のチャイムを聴くたび、あの時の冷や汗の匂いと、限界のプリーツスカートの震えを思い出して胸がキュンと締め付けられる。
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