ビアホールの賑わいと遠い洗面所
夏の熱気が残る7月の金曜日の夜9時前、都内にあるドイツ風ビアホールでのことだ。ビールジョッキをぶつけ合う音と談笑の声が響き渡る賑やかな店内は熱気で満ちており、店の一番奥にある女子トイレの前には10人以上の長い行列ができていた。私は友人を待つため、通路の脇の柱の陰に立っていた。……その時、列の中ほどに並んでいた女性が目に入った。彼女は20代半ばほどの、薄いピンクのシフォンブラウスに白いタイトスカートを履いた上品な女性だった。足元は細いストラップのサンダルを履き、髪は綺麗にハーフアップにまとめられていた。しかし、その上品な雰囲気とは裏腹に、彼女の表情は限界の便意によって強張っていた。
彼女はスマートフォンを握りしめたまま、ブラウスの裾をギュッと掴み、下腹部を押し潰すように体をくの字に折り曲げていた。サンダルを履いた彼女の脚は、内ももをすり合わせながら小刻みにステップを踏み、膝が内側に折れ曲がっていた。顔の筋肉は限界の便意によって強張っており、額から流れる大量の汗で、丁寧に描かれたアイブローが半分消えかかっていた。彼女は、冷たいビールとソーセージの油のせいで急激に悪化した激しい便意の波と戦っていたのだ。
周囲には多くの客がおり、列を乱すこともできず、その場に留まるしかない。便意の大波が襲うたび、彼女は「くっ……」と呻き、サンダルの踵を浮かせてお尻の括約筋を極限まで締め上げていた。見てはいけないと思うのに、私は彼女のタイトスカートの下で強張る太ももの震えと、必死に耐えている様子から目が離せなくなった。心臓が激しく脈打ち、手のひらに汗をかく。もしこの華やかな場所で決壊してしまったら……そんな後ろめたい高揚感が頭をよぎり、耳の奥が熱くなった。
「もう、歩けない……っ」と、ついに彼女は列の途中で立ち止まり、両手で股間を押さえるようにしてその場にうずくまってしまった。友人が慌てて肩を支え、列の先頭の人に交渉して彼女を順番待ちの先に通した。彼女は友人に支えられながら、腰を引きずり、走るるように個室へと消えていった。今でもビアホールの賑やかな音楽を聞くたび、あの熱気の中で限界の姿勢で耐えていた彼女のピンクのブラウスと、あの瞬間の高揚感を鮮明に思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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