体育祭の開会式と終わらない校長挨拶
雲一つない秋晴れの10月初旬、午前9時過ぎの高校のグラウンドでのことだ。日差しは強いが風は冷たく、砂埃が舞う校庭に全校生徒が整列していた。最初の異変は、開会式が始まってすぐ、校長先生の挨拶が始まった頃だった。下腹部の奥深くで、ズキリとする冷たい尿意が芽生えたのだ。朝の冷え込みと緊張、そして登校直前に飲んだ冷たいスポーツドリンクが、最悪のタイミングで膀胱を刺激し始めた。
私はその日、学校指定の体操着の半袖Tシャツにエンジ色のショートパンツ、その下に薄い黒のレギンスを穿いていた。髪はすっきりと一本のポニーテールに結んでいたが、尿意の波が来るたびに吹き出る脂汗で、首筋や額がベタついていた。整列しているため、手は太ももの横に置く「気をつけ」の姿勢を崩せない。しかし、私の指先は限界の緊張で強張り、細かく震えていた。足元は白いスニーカーの中で足の指をぎゅっと丸め、踵を浮かせるようにしてお尻の括約筋を締め上げた。
「ここで列を抜けてトイレに行くなんて、全校生徒の前で恥を晒すようなものだ……」。静まり返ったグラウンドで、挨拶を遮って歩き出す勇気はない。この強力な社会的な檻が、私を土の上に立ち尽くさせ、逃げ道を塞いでいた。尿意は容赦なく押し寄せ、膀胱が決壊寸前の風船のようになっていく。第二波、そしてより激しい第三波が押し寄せた瞬間、お腹に走る激痛に耐えかねて、私の背筋は限界まで強張り、両膝ががくがくと激しく震え始めた。
顔面は完全に血の気が引き、きつく噛み締めた薄い唇からは赤みが消えていた。心臓が耳元でうるさく脈打った。恥ずかしさと絶望が頭の中で混ざり合って、意識が遠のきそうだった。「お願いだから早く終わって……」と心の中で何度も祈るが、校長先生の話は一向に終わらない。
ようやく「これで挨拶を終わります」という声が響いた瞬間、私は腰を浮かせるようにして動こうとしたが、下腹部に激痛が走り、内股のままその場に凍りついた。両手で必死にショートパンツの上から股間を押さえ、崩れ落ちそうになるのを耐えながら、友人に支えられて何とか本部テントの裏のトイレへとすり足で急いだ。便座に腰を下ろし、温かいものが一気に放出された瞬間の、あの魂が融解するような解放感は一生忘れられない。今でも体育祭の笛の音を聴くたび、あの時の冷や汗と、股の奥がキュンとすくむ感覚が蘇る。
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