排泄物語

オフィスビルの階段避難訓練

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肌寒い3月の午前11時過ぎ、私は本社ビルで行われる避難訓練に参加していた。エレベーターを使用せず、25階から階段で降りるという過酷な訓練だった。最初の異変は、15階付近まで降りてきた頃だった。下腹部の奥深くがギュルギュルと音を立てて収縮し、冷たい激痛が走った。朝の緊張からか、慌てて胃に流し込んだ冷たい牛乳が、この最悪のタイミングで胃腸を直撃した。

私はその日、上品なフォーマルスーツのタイトスカートに、薄手のベージュのストッキングと7センチのヒールパンプスを履いていた。髪は知的な印象を与えるためにきっちりと一つ結びにしてまとめていたが、額からにじむ大量の脂汗で前髪がはりついていた。手すりを握る手は緊張と激痛で白くなり、指先が不自然に震えていた。

「ここで列を外れてトイレに行くなんて言ったら、全社員の注目を浴びてしまう……」。訓練とはいえ、全社イベントという社会的な檻が、私の括約筋を極限まで緊張させていた。「あと何階? 早く動いて」。脳内では神への卑屈な祈りと時間計算が繰り返された。便意のの波は容赦なく押し寄せ、お尻の門を突き破ろうとする。私はタイトスカートの中で内ももをぎゅっと押し付け合い、パンプスのつま先にすべての体重をかけてお尻の筋肉を限界まで締め上げた。

激痛の第二波が来た瞬間、背筋がピンと跳ね上がるように強張り、喉の奥から「くぅ……」と押し殺した短い呼吸が漏れそうになった。顔を引き攣らせながらも、何とか「足元にご注意ください」と掠れた声で周囲に声をかけた。見てはいけないものを見られているのではないかという恥ずかしさと、破滅の一歩手前のスリルが頭の中で混ざり合い、耳の奥が熱くなった。

ようやく1階のロビーに到着した瞬間、私は踵を返した。しかし、歩いた衝撃で再び激しい波が襲い、ロビーの途中で内股のまましゃがみ込みそうになる。両手でお腹を抱え、すり足で化粧室へ急ぎて滑り込み、個室の便座に座って毒素が一気に解放された時の魂が抜けるような心地よさ。今でも階段の避難案内を見るたび、あの時の冷や汗の冷たさと、股の奥がキュンとすくむ恐怖を思い出す。

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