真夏のビーチハウス
八月の焼け付くような午後2時前、夏の強い日差しが降り注ぐ湘南の海の家でのことだ。周囲は多くの海水浴客で賑わっており、かき氷の冷たさと潮風の香りが漂っていた。
最初の異変は、冷たいビールとイカ焼きをたくさん食べた後のことだった。下腹部の奥深くがギリギリと雑巾を絞るように激しく収縮し、冷たい汗が背中を一気に流れ落ちた。冷たいものの飲みすぎが、この最悪のタイミングで私の胃腸を刺激し始めたのだ。 「海の家のトイレは1つしかなく、常に混雑している」という状況が、私の心に冷たい楔を打ち込んだ。
私はその日、水着の上から黄色のノースリーブワンピースを羽織り、足元はビーチサンダルを履いていた。髪はハーフアップに綺麗にまとめていたが、腹痛による冷や汗で額の生え際が濡れて前髪が額にはりついてしまった。顔からは完全に血の気が引き、土気色になっているのが自分で分かった。
海水浴場という、常に人が多くて逃げ場のない社会的檻が私をその場に留まらせた。ビーチサンダルの上で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐える。しかし、便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部を貫くズキズキとした激痛に耐えかねて、私は砂浜の上で何度も腰を浮かせ、背筋を反らせて息を整えた。
「お願いだから、早くトイレが空いて……」 心の中で無意味な祈りを捧げ、簡易トイレの行列を何度も確認するが、前の利用者は一向に出てくる気配がなく、一分がまる一時間のように感じられた。恥ずかしさと、多くの観光客の前で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が混ざり合い、心臓は早鐘のように脈打ち、頭の中が真っ白になった。
ようやくトイレが空いた瞬間、私はドアを掴むのもそこそこに、お尻をかばう極端な内股の歩き方で個室へ滑り込んだ。便座に座ってすべてを解放した時の天国のような心地よさ。今でも夏の海の匂いを感じるたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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