静寂の図書感、個室内の攻防
秋の冷たい雨が降る10月の午後4時すぎ、大学図書館の自習室でのことだ。室内にはただ、紙をめくるカサカサという音と、シャープペンの芯が走る音だけが響いており、立ち上がるだけでも椅子が床と擦れて大きな音が響く静寂が支配していた。私は窓際の席でレポートを作成していた。……その時、斜め前の席に座っていた女子大生の様子に明らかな異変が現れた。
彼女は20歳前後と思われる、上品な白いハイゲージニットに、深緑色のコーデュロイスカートを合わせた女性だった。髪は長い黒髪を後ろでハーフアップにまとめ、黒い本革のリュックを椅子の背もたれにかけていた。しかし、その知的な雰囲気とは裏腹に、彼女の身体は尋常ではない便意によって小刻みに震えていた。
彼女は参考書を開いたままペンを握る手を止め、机の下で両脚をピタリと密着させ始めたのだ。スカートの裾の中で、内もも同士を強く擦り合わせるようにして、小刻みに膝を震わせている。顔の血の気はすっかり引き、きつく噛み締めた唇の端がワナワナと震えているのが至近距離から見て取れた。額からはじわりと冷や汗がにじみ、前髪が乱れておでこに張りついていた。
彼女は、図書館の静寂という檻の中で、立ち上がるタイミングを失って猛烈な便意と戦っていた。もし今ここで席を立てば、静まり返った自習室の中で注目を集めてしまう。その社会的なプレッシャーが、彼女を座席に縛り付けていた。彼女は何度もスマートフォンの画面を点灯させて時間を確認していたが、その指先は白く震えており、必死に内面で葛藤しているのが伝わってきた。
見てはいけないと思つつも、彼女のコーデュロイスカートの裾から伸びる、タイツに包まれた太も目の震えと、限界の仕草からどうしても目が離せなくなった。私の心臓はドクンドクンと早く鼓動し、手のひらに汗をかいた。便意の波が押し寄せるたび、彼女は上半身を机に突っ伏し、机の角に下腹部を強く押し当てるようにして体を強張らせていた。
便意が極限に達したのか、彼女はカバンを掴んで弾かれたように立ち上がった。しかし、立ち上がった衝撃で括約筋への圧迫が強まったのだろう、彼女は「あ、っ……」と小さく吐息を漏らし、内股のままその場で動きを止めてしまった。両手でスカート前を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている。涙がその大きな瞳からこぼれ落ちそうになっていた。数秒間耐えた後、彼女はすり足のような不自然な足取りで自習室から逃げ去っていった。今でも静まり返った場所に行くと、あの時の一触即発の緊張感と、彼女の美しい震えを思い出して胸が苦しくなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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