重要ビルのセキュリテぃゲート前で
冷え込みの厳しい12月の午後3時すぎ、都心の高層オフィスビルのセキュリティゲート前でのことだ。私は他社との商談に向かうため、受付で入館手続きを行っていたが、ゲート前に長蛇の列ができていた。ビル内は冷暖房が効いていたが、大理石の床から冷気が這い上がり、私の身体をじわじわと冷やしていった。ゲート通過の数分前、突然下腹部の奥深くでズンと重い便意が走った。
「大丈夫、商談が終わるまであと30分……」と自分に言い聞かせたが、それが地獄の始まりだった。ビジネスの品格を保つため、笑顔を崩さず姿勢を真っ直ぐ保ち続けなければならないという強烈な社会的責任が、私をその場に縛り付ける檻となっていた。
私はその日、上品なグレーのテーラードジャケットに、タイトな黒のペンシルスカート、そしてベージュのストッキングと5センチのピンヒールを合わせていた。髪は上品なハーフアップにまとめていたが、お腹の急激な下りに伴う冷や汗が吹き出し、首元や背中をベタつかせていく。顔からは完全に血の気が引き、丁寧に仕上げたファンデーションの下の肌が青ざめていくのが自分でも分かった。
手続きを行っている最中、便意の第二波が襲いかかった。私はカウンターの陰で、両腿をきつく交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐えた。パンプスのつま先に体重をかけ、カカトを交互に浮かせながら、括約筋の決壊を防ぐために全身の筋肉を硬直させた。
「あと10分、あと5分……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、手続きが遅れるたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。
見てはいけないと思つつも、隣の同僚に気づかれないように太ももを震わせ、必死に微笑みを浮かべている姿は、まさに限界の瀬戸際だった。お腹の下を強く圧迫したい衝動を抑えるため、バッグの端を指先が白くなるほど強く握りしめた。
ようやくゲートを通過した瞬間、私は同僚に軽く会釈をして、お尻をかばう極端な内股の姿勢でロビーの裏手へと急いだ。一歩歩くごとに括約筋が決壊しそうになり、涙目で顔を歪めながら化粧室に滑り込んだ。便座に腰を下ろし、一気に水分が放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも高層ビルのゲートを見るたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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