紅葉のハイキンぐ道、動けない足元
秋の澄んだ空気が心地よい10月半ばの午前11時すぎ、人気の登山道でのことだ。周囲は紅葉狩りの登山客で賑わっていたが、山頂近くの展望台へ向かう急斜面の山道は日陰でひんやりと冷え切っていた。私は写真を撮るために少し列から外れて休憩していた。……その時、少し前方で立ち往生している女性が目に入った。
彼女は20代後半と思われる、アウトドアブランドの撥水ナイロンパーカーに、ショートパンツ、整理されたグレーのトレッキングタイツを穿いた活発な女性だった。足元は頑丈なハイキングシューズを履き、髪はポニーテールに結んでいたが、そのお団子の先が、彼女の小刻みな全身の震えに合わせて揺れていた。彼女はトレッキングポールを両手で強く握りしめ、それを下腹部の前にピッタリと押し当てていた。
ハイキングシューズを履いた彼女の脚は、タイツに包まれた内ももをこれでもかと密着させ、両膝を限界まで内側に折り曲げていた。顔の筋肉は限界の便意によって完全に強張っており、額からにじみ出る冷や汗で前髪がはりついていた。首筋には赤みがさし、普段なら人に見せないような切迫した気配が彼女の全身から漂い始めていた。
彼女は、標高の上昇に伴う気温低下と、長時間の歩行によって胃腸を限界まで刺激され、猛烈な便意と戦っていたのだ。次の避難小屋のトイレまであと20分以上かかる。周囲には他の登山客が絶え間なく通り過ぎるため、木陰で用を足すこともできない。その逃げ場のない山道という檻が彼女を精神的にも追い詰めていた。彼女は奥歯を噛み締め、時折「はぁ……っ」と熱く苦しげな吐息を漏らし、背中を丸めていた。
見てはいけないと思つつも、彼女のタイツ越しに伝わる、強張った太も目の激しい震えと、限界の仕草からどうしても目が離せなくなった。私の心拍数は異常に跳ね上がり、喉がカラカラに渇いた。便意の波が激しく襲いかかるたび、彼女はつま先立ちになり、お尻の筋肉を極限まで締め上げ、体を捩るようにして漏れを防いでいた。
ついに彼女は限界に達したのか、トレッキングポールを地面に突き刺したまま「うっ……」と声を漏らし、内股のままその場にうずくまってしまった。両手で完全に股間を強く押さえ、顔を真っ赤にして必死に耐えている。涙がその大きな瞳からこぼれ落ちそうになっていた。周囲の登山客が怪訝そうに通り過ぎる中、彼女は涙目のまま、友人に支えられるようにして山道の奥へと消えていった。今でも山登りをするたび、あの時の冷や汗の匂いと、彼女の限界の震えを思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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