屋上懇親会での静かな悪夢
夏の熱気が残る8月の夜8時すぎ、都心のビル屋上にあるお洒落なビアガーデンでのことだ。会場は多くのグループで賑わっており、ビールジョッキをぶつけ合う音と談笑の声が響き渡る賑やかな店内は熱気で満ちていた。私は会社の同僚たちとテーブルを囲んでいた。……その時、隣のテーブルで壁に背を預けて立っている女性の様子に微かな異変が生じた。
年齢は二十代半ばのOL風の女性。涼しげな黄色のノースリーブワンピースに、白い薄手のカーディガンを羽織り、足元はヒールサンダルを履いていた。髪は綺麗にアップスタイルにまとめられ、小さなゴールドのイヤリングが揺れていた。
最初は笑顔で同僚と話していた彼女だったが、いつの間にかその笑顔は消え、表情が強張っていた。彼女は持っていたグラスを近くのテーブルに置くと、両手を下腹部の前で交差させるように重ねた。さらに、サンダルを履いた足を交互にもじもじと動かし、ワンピースの裾の中で内ももを強く擦り合わせている。冷たいアルコールと脂っこい揚げ物が胃腸を直撃したのか、猛烈な便意に襲われているのは明らかだった。
会場の端にある女子トイレの前には15人以上の長い行列ができており、個室は二つしかない。彼女はその列を見て、並ぶべきかその場に留まるべきか、激しい葛藤を抱えているようだった。
見てはいけないと思つつも、彼女の限界に達した美しい立ち姿から目が離せなくなった。彼女の額や首筋には細かな冷や汗がにじみ、綺麗に塗られたピンクのリップが小刻みに震えている。時折、胸元を大きく上下させてハァーと深呼吸をし、お腹への刺激を逃がしようとしていた。ワンピースの生地が彼女の呼吸に合わせて引き攣るように動く。
便意の波は残酷に押し寄せ、彼女はワンピースの裾をギュッと握りしめて耐えていた。片足をもう片方の足の後ろに隠すようにして交差させ、全身の筋肉を硬直させている。華やかなBGMや周囲の歓声が、彼女の孤立無援な闘いをさらに強調させていた。「今ここで漏らしたら、すべてが終わる」そんな内面交渉が、彼女の絶望的な瞳から読み取れた。彼女の限界の表情を見つめるうちに、私の心拍数は異常に上がり、胸の奥が熱くなるのを感じた。
ついに彼女は限界に達したのか、近くにいた友人の袖を引っ張り、青ざめた顔で何かを囁いた。友人が驚いて彼女の体を支えようとした瞬間、彼女はビクッと全身を強張らせ、内股のままその場で動きを止めてしまった。ヒールを履いた両足が激しく震え、ワンピースの裾が不自然に小刻みに揺れていた。涙がその大きな瞳からこぼれ落ち、メイクがわずかに滲んでいく。彼女は涙目のまま、友人に抱えられるようにしてゆっくりと会場の出口へ向かっていった。今でもビアガーデンを見るたび、あの時の彼女の限界の震えを思い出して胸がゾクゾクとする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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