実験室の静寂と耐え難いお腹の鳴り
梅雨の湿気が肌にまとわりつく6月の午後2時前、大学の有機化学実験室でのことだ。実験室は薬品の独特な臭気と、安全のために作動している換気扇の低いファン音が絶え間なく響いていた。私は他学生とペアを組み、3時間におよぶデリケートな合成実験の真っ最中だった。実験開始直前、昼食時に食べた辛い麻婆豆腐が、この最悪のタイミングで私の胃腸を刺激し始めたのだ。
最初の異変は、フラスコ内の試薬を滴下し始めた直後に訪れた。下腹部の奥深くでズンと重い便意の地鳴りが走り、冷や汗がじわりと額ににじみ出た。「いや、気のせいだ、実験に集中しよう」と自分に言い聞かせたが、その自己暗示は一瞬で打ち砕かれた。急激な腹痛の第一波が襲いかかり、胃腸を直接冷たい手でギュッと握り潰されるような痛みに襲われた。
私はその日、白い実験衣の下に、オフィスカジュアル風の薄いピンクのシフォンブラウス、そして膝丈のベージュのタイトスカートに薄手ストッキングを合わせていた。髪は後ろで上品なハーフアップにまとめていたが、お腹を下した冷や汗で額の生え際が濡れ、前髪が額にはりついてしまった。フラスコを固定するクランプを握る右手は汗でベタつき、指先が白くなるほど強張っていた。
実験は温度管理が極めて厳しく、フラスコの前から一歩でも離れれば、これまでの数時間の作業がすべて水の泡になり、共同実験のペアにも多大な迷惑をかけてしまう。その社会的責任とプレッシャーが、私をドラフトチャンバーの前に縛り付ける檻となっていた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、括約筋はすでに限界値に達していた。私はタイトスカートの中で、両腿をこれでもかと密着させ、両膝を左右に激しくもじもじと揺らしながら、時折パンプスのつま先だけで床を擦って耐えた。顔の筋肉は苦痛で引き攣り、奥歯を噛み締めすぎて顎の骨が痛むほどだった。額から流れる汗がアイブロウを溶かし、ファンデーションがドロドロに浮き上がりっているのが自分でも分かった。
「あと10分、この滴下プロセスが終わるまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、お腹のゴロゴロという不快な蠕動運動が響くたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。見てはいけないと思つつも、自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく滴下が終了し、ペアの学生に後処理を任せた瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で実験室を飛び出した。一歩歩くごとに括約筋が決壊しそうになり、涙目で顔を歪めながら廊下の突き当たりにあるトイレへ滑り込んだ。個室の便座に座り、すべてを放出した瞬間の全身の力が抜けるような熱い解放感。今でも実験室のファン音を聞くたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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