ホテルラウンジでの静かな戦い
春の穏やかな土曜日の夜8時すぎ、お洒落なホテルで開催されたビジネスレセプションパーティーでのことだ。会場は多くのゲストで賑わっており、お酒や食事を片手に楽しげな会話が飛び交っていた。……その時、立食スペースの片隅で、壁に背を預けている女性が目に入った。
年齢は二十代後半くらいだろうか。光沢のあるネイビーのパーティードレスに、パールのネックレス。髪は綺麗にアップスタイルにまとめられている。足元はアパレル向けの八センチほどある高めのシルバーヒールを履いていた。
最初は笑顔で新郎新婦を見つめていた彼女だったが、いつの間にかその笑顔は消え、表情が強張っていた。彼女は持っていたシャンパングラスを近くのテーブルに置くと、両手を下腹部の前で交差させるように重ねた。
さらに、ヒールを履いた足を交互にもじもじと動かし、タイトなドレスの裾の中で内ももを強く擦り合わせている。冷たいアルコールと脂っこい食事が胃腸を直撃したのか、猛烈な便意に襲われているのは明らかだった。薄暗い会場の照明の中でも、彼女の額に浮かぶ冷や汗がキラキラと光っているのが見えた。
会場の女子トイレは常に長蛇の列ができており、個室も二つしかない。彼女はその列を見て、並ぶべきかその場に留まるべきか、激しい葛藤を抱えているようだった。
見てはいけないと思つつも、彼女の限界に達した美しい立ち姿から目が離せなくなった。彼女の額や首筋には細かな冷や汗がにじみ、綺麗に塗られたピンクのリップが小刻みに震えている。時折、胸元を大きく上下させてハァーと深呼吸をし、お腹への刺激を逃がしようとしていた。ドレスの生地が彼女の呼吸に合わせて引き攣るように動く。
便意の波は残酷に押し寄せ、彼女はドレスの裾をギュッと握りしめて耐えていた。片足をもう片方の足の後ろに隠すようにして交差させ、全身の筋肉を硬直させている。華やかなBGMや周囲の歓声が、彼女の孤立無援な闘いをさらに強調させていた。「今ここで漏らしたら、すべてが終わる」そんな内面交渉が、彼女の絶望的な瞳から読み取れた。彼女の限界の表情を見つめるうちに、私の心拍数は異常に上がり、胸の奥が熱くなるのを感じた。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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