日曜日の混雑するショッピングモール
秋晴れの十月の日曜日、午後二時すぎの都心の大型ショッピングモールでのことだ。週末のファミリー客やカップルで館内は大変混雑しており、エレベーターやフードコートの前には人だかりができていた。私は友人と買い物を楽しんでいたが、ランチに食べたスパイシーな料理と冷たい炭酸飲料が胃腸に急激な刺激を与えたのか、お腹の奥底で重低音のような鈍痛が走った。
最初の予兆は、洋服店で商品を手に取っている最中だった。お腹の下腹部がぎゅっと収縮し、冷たい脂汗が額ににじみ出た。「まだ大丈夫、二階に行けば大きなトイレがあるから」と自分に言い聞かせたが、それが悲劇の幕開けだった。
私はその日、上品なベージュのウールニットワンピースに、黒のタイツ、そしてヒール付きのブーティを履いていた。髪は後ろでゆるくポニーテールに結んでいたが、腹痛の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で額の生え際が濡れ、前髪が張り付くのが分かった。顔からは完全に血の気が引き、鏡を見ずとも土気色になっているのが自覚できた。
エスカレーターに向かったが、週末の混雑で思うように進めず、しかもトイレの前には十人以上の長い列ができているのを見た瞬間、頭の芯が真っ白になった。周囲には多くの家族連れが楽しそうに行き交っており、この公衆の面前で生理現象に悶絶している姿を見られたくないという強烈な社会的羞恥心が、私を現場に縛り付ける檻となっていた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、お尻の括約筋は極限まで締め付けられていた。私はタイツの中で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐えた。ブーティのつま先に力を込め、お尻の筋肉を極限まで硬直させた。
「あと五分、この列が進むまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、お腹の奥が痛むたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。恥ずかしさと、この大衆の面前で今にも漏らしてしまいそうだという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、ワンピースの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ついに順番が回ってきて個室に駆け込んだ。便座に滑り込み、熱いものが一気に放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも週末のショッピングモールに行くたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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