百貨店エスカレーターでの立ち往生
冷え込みの厳しい十二月の土曜日、午後二時すぎの老舗百貨店でのことだ。お歳暮やクリスマスの買い物客で店内は大変混雑しており、各階を結ぶエスカレーターには長い行列ができていた。私はインフォメーションの受付スタッフとして、一階のエスカレーター横の案内所に立っていた。業務 the 途中、突然下腹部の奥深くでツンとした鋭い尿意の第一波が走り抜けた。
「交代まであと二十分……これくらいなら耐えられる」と自分に言い聞かせたが、それが地獄の始まりだった。入り口から吹き込む冷たい外気が足元をじわじわと冷やし、尿意は一気に強暴な第二波となって膀胱を襲った。
私はその日、百貨店指定のネイビーのタイトスカート制服に、薄手のベージュストッキング、そして五センチの黒いヒールパンプスを履いていた。髪はきっちりとシニヨンにまとめられていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で額の生え際が濡れ、襟元がじっとりと張り付くのが分かった。綺麗に整えたはずのメイクも脂汗で崩れ、顔面からは完全に血の気が引いて白くなっていた。
百貨店のインフォメーションという、常に笑顔で美しく立っていなければならないという強烈な社会的責任が、私をその場に縫い止める檻となっていた。
尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、私はカウンターの陰で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐えた。パンプスのつま先に体重をかけ、カカトを交互に浮かせながら、お尻の筋肉を極限まで硬直させた。
「あと十分、あと五分……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、お客様から案内を求められるたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。
見てはいけないと思つつも、隣の同僚に気づかれないように太ももを震わせ、必死に微笑みを浮かべている姿は、まさに限界の瀬戸際だった。お腹の下を強く圧迫したい衝動を抑えるため、カウンターの端を指先が白くなるほど強く握りしめた。
ようやく交代のスタッフが到着した瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で案内所を離れた。一歩歩くごとに尿道が決壊しそうになり、涙目で顔を歪めながらスタッフ用トイレに駆け込んだ。便座に腰を下ろし、一気に尿が放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも百貨店のインフォメーションを見るたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。だた、あの時のスリルは今でも忘れられない。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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