排泄物語

雨の満員地下鉄、閉ざされた空間

投稿者: 生成エピソード集(エピソード551〜600)2分で読めます閲覧 7673.4(5件)

ジメジメとした梅雨の六月の水曜日、午前八時過ぎの通勤快速電車の車内でのことだ。車内は乗客の濡れた傘と熱気で蒸し風呂のように蒸し暑く、エアコンは気休め程度にしか効いていなかった。私はドアの横の隅に立っていたが、急な信号トラブルで電車が駅と駅の間の真っ暗な地下トンネルの中で急停車した瞬間に、悲劇が始まった。

車内放送で「運行再開までしばらくかかります」とアナウンスが流れ、下腹部の奥深くでズズンと重い便意の地鳴りが響いた。今朝、出勤前に立ち寄ったカフェで冷たいアイスラテを一気に飲み干したことが、この最悪のタイミングで冷えた胃腸を直撃したのだ。

私はその日、上品な薄手のサックスブルーのシフォンブラウスに、タイトな黒の膝丈スカート、そしてストッキングと五センチの黒パンプスを履いていた。ハーフアップに整えた髪の生え際からは汗がタララと流れ落ち、首元がじっとりと濡れてブラウスの襟元が皮膚にはりつく。ファンデーションは汗でヨレ、マスカラが滲んで目の周りが少し黒くなっているのが分かった。満員電車の密室という、絶対に降りられない社会的状況が私を肉体的にも精神的にも限界へと追い詰めていく。揺れる車内で隣の乗客の肩がぶつかるたびに、お腹の奥へ激しい雷が走り、私は思わず「ひぅ……」と声を漏らしそうになり、きつく唇を噛み締めた。

スカートの中で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐える。しかし、便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部は決壊寸前の水風船のように膨らみ、お尻の奥が熱く痛む。

「あと十分、次の駅さえ着けば……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、電車の照明が一瞬チカチカと消えかけるたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。恥ずかしさと、この大衆の面前で今にも漏らしてしまいそうだという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。見てはいけないと思いつつも、自分の限界の太も目の震えと、スカートの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。

停車から二十分後、ようやく電車が動き出し、最寄り駅に滑り込んだ。ドアが開いた瞬間、私は周囲の乗客を押し分けるようにホームへ出たが、一歩を踏み出す衝撃で括約筋が限界を迎えそうになり、その場で動けなくなった。涙目でカバンを下腹部に強く押し当て、がくがくと震える膝を内側に折り曲げ、すり足のような奇妙な歩幅でトイレへと急いだ。個室の便座に滑り込み、熱いものが一気に放出された瞬間の、頭の芯がとろけるような凄まじい解放感。今でも満員電車の非常ブレーキ音を聞くたび、あの時の冷や汗の冷たさと、股の奥がキュンと疼く恐怖が鮮明によみがえる。だた、あの時ほど自分の括約筋を誇らしく思ったことはない。

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