冬の通勤ホームでの立ち往生
凍てつくような一月の月曜日、午前八時前の郊外の駅のホームでのことだ。週明けの通勤ラッシュでホームは大変混雑しており、厳しい寒風が吹き抜けて足元からじわじわと体温を奪っていた。私は電車を待つために列の途中に並んでいたが、乗車する前に駅のホームの売店で購入した温かいほうじ茶をすべて飲み干したことが、この最悪のタイミングで膀胱を急激に刺激し始めた。
最初の異変は、ホームの電光掲示板を見上げた瞬間に訪れた。下腹部の奥深くで、ツンとした鋭い尿意の第一波が走った。次の主要駅まであと五駅、時間にして約二十分。「大丈夫、これくらいなら我慢できる」と自分に言い聞かせたが、それが地獄の底なし沼への入り口だった。
私はその日、上品なグレーのダッフルコートに、黒のタイトな膝丈スカート、そして黒の厚手タイツと五センチのヒールパンプスを履いていた。髪はハーフアップに綺麗にまとめていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で首元がじっとりと濡れ、コートの襟元が皮膚にはりつく。綺麗に整えていたはずのファンデーションが脂汗で浮き上がり、顔面からは血の気が完全に引いて白くなっていた。
駅のホームは混雑しており、一度列を外れれば次の電車に乗れなくなるという社会的焦りと、近くの公衆トイレがホームの反対側にあるという絶望的な状況が、私をその場に縛り付ける檻となっていた。
尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、尿道はすでに限界値を迎えていた。タイツの中で両腿をこれでもかと密着させ、膝を内側に極端に曲げて、もじつきながら全身を小刻みに震わせていた。パンプスのつま先に力を込め、お尻の筋肉を極限まで硬直させた。顔の筋肉は苦痛で歪み、奥歯を噛み締めすぎて顎の骨が痛むほどだった。額から流れる汗がアイブロウを溶かし、目に入ってしみるが、それを拭う余裕すらなかった。
「あと三分、電車が到着するまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返すが、お腹の奥が痛むたびに心臓が激しく脈打ち、焦りで頭が真っ白になった。恥ずかしさと、この大衆の面前で今にも漏らしてしまいそうだという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。
見てはいけないと思つつも、自分の限界の太も目の震えと、コートの裾が不自然に揺れるスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。
ようやく電車が到着した瞬間、私は乗車するのを諦め、お尻をかばう極端な内股の姿勢でホームの階段へ急いだ。一歩歩くごとに尿道が決壊しそうになり、涙目で顔を歪めながら多目的トイレに駆け込んだ。便座に腰を下ろし、一気にすべてが放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも冬の駅のホームに立つたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。だた、あの時のスリルは忘れられない。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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