結婚式披露宴、静寂のテーブル
新緑の美しい五月の日曜日、午後一時すぎの高級ホテルの結婚披露宴会場でのことだ。親しい友人の晴れ舞台を祝う華やかな席であり、テーブルの上には高級感あふれるフレンチのフルコースとシャンパンが並んでいた。私は新婦側の友人として円卓の席についていたが、乾杯の発声から始まった冷たいシャンパンや赤ワインのグラスを重ねたことが完全に裏目に出てしまった。
最初の異変は、新郎新婦の生い立ちを紹介するプロフィールムービーの上映中に訪れた。会場の照明が完全に落とされ、静寂が広がる中で、下腹部の奥深くをツンと刺すような尿意の第一波が走った。最初は「まだ大丈夫」と軽く考えていたが、ムービーの終盤、式場内の冷房の冷気が足元をじわじわと冷やしていくにつれ、尿意は一気に強暴な第二波となって膀胱を圧迫し始めた。
私はその日、光沢のあるネイビーのシルクドレスに、シルバーのパールのネックレス、そして五センチの細いピンヒールサンダルを合わせていた。髪は華やかにアップスタイルにまとめていたが、尿意の焦燥感から全身に噴き出した冷や汗で首元がじっとりと濡れ、ドレスの襟元が皮膚にはりつくのを感じた。綺麗にメイクしたはずのファンデーションが脂汗でじわじわと浮き上がり、マスカラが滲んで涙目のようになっているのが自覚できた。
結婚披露宴という、主役の晴れ舞台を台無しにできないという強い社会的羞恥心と、テーブルを立って他のゲストの注目を浴びてしまう恐怖が、私を円卓の椅子という名の檻に縛り付けていた。
尿意の波は容赦なく押し寄せ、膀胱は決壊寸前の水風船のようにお腹の奥で痛みを主張し始めた。私はテーブルの下で、ドレスの裾をギュッと握りしめ、サンダルのつま先に体重をかけてカカトを交互に浮かせました。ドレスの中でストッキングを履いた内ももをこれでもかと密着させ、両脚をぎゅっと交差させてお尻の筋肉を極限まで引き締めた。
「あと十分、この友人スピーチが終わるまで……」と、頭の中で狂ったように秒刻みの計算を繰り返し、神に祈り続けた。恥ずかしさと、新郎新婦の目の前で今にも漏らしてしまうのではないかという恐怖が混ざり合い、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。自分の限界の太も目の震えと、ドレスの生地が不自然に揺れ動くスリルの中で、心臓は早鐘のように脈打っていた。だらら、私は必死に耐えた。
友人スピーチが終わり、拍手の中に歓談の時間が告げられた瞬間、私はお尻をかばう極端な内股の姿勢で立ち上がった。一歩歩くごとに、尿道が決壊しそうになり、涙目で顔を歪めながら化粧室へ急いだ。個室の便座に滑り込み、熱い水分が一気に放出された瞬間の凄まじい解放感。今でも華やかな結婚式のBGMを聞くたび、あの時の冷や汗と股の奥がすくむような恐怖を思い出す。だた、あの時のスリルは忘れられない。
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