渋滞する高速バスの車窓から
真夏の夕方6時半過ぎ、都心へと向かう東名高速道路を走る高速バズの車内でのことだ。事故渋滞に巻き込まれ、バスは完全に停止したまま、数十分間も動く気配がなかった。冷房は効いているものの、窓から差し込む西日と車内のどんよりとした沈黙が、乗客たちの焦燥感を煽っていた。
……その時、通路を挟んだ斜め前の席に座っていた若い女性が目に入った。
彼女は20代前半の女子大生風で、涼しげな薄緑色の花柄ワンピースを着ていた。薄手のシフォン生地は彼女の体に柔らかく沿っており、肩には白いカディガンを羽織っていた。髪は緩く三つ編みにしてサイドに流しており、足元は細いストラップのレザーサンダルを履き、爪にはピンクのペディキュアが塗られていた。膝の上にはキャンバス生地のトートバッグを置いていたが、それを抱え込むようにして、両手で強く下腹部を押し潰していた。彼女の可愛らしい顔は苦痛で青ざめ、額にはうっすらと汗がにじんでおり、それが目元のアイラインを小さく滲ませていた。
最初はただ渋滞にイライラしているのかと思ったが、彼女の脚の動きを見て事情を察した。
彼女はサンダルを履いた両足を交差させ、内ももをぎゅっと擦り合わせるようにして、シートの上で何度も腰を浮かせたり沈めたりしていた。バスにはトイレが設置されておらず、運転手からは「次のサビスエリアまであと30分以上かかる」と無情なアナウンスが流れたばかりだった。その瞬間、彼女はビクッと体を震わせ、お腹を押さえたまま「はぁ……っ」と熱い吐息を漏らした。逃げ場のない密室という過酷な檻の中で、彼女の膀胱はとっくに限界の波を迎えていたのだ。
その様子を見た瞬間、私の心臓はドクンと跳ね、彼女のワンピースの裾の揺れと、必死に擦り合わされる細い脚から目が離せなくなった。
尿意の第二波、第三波が襲うたび、彼女はうつむいて涙ぐみ、サンダルのつま先を激しくモゾモゾと動かしていた。見てはいけないと思うのに、私は息を殺し、極限の我慢に震える彼女の太ももを盗み見続けていた。
ようやくバスがサービスエリアに滑り込んだ瞬間、彼女はドアが開く前に通路へ飛び出し、よろめくような内股のままトイレへと疾走していった。
今でも夏の夕暮れの渋滞に巻き込まれるたび、あの時の彼女の歪んだ横顔と、必死に内ももを擦り合わせていた花柄ワンピースの揺れを思い出して胸が熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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