排泄物語

音楽フェスの長い行列

投稿者: ランダムテーマ エピソード集(エピソード51〜100)1分で読めます閲覧 9503.9(7件)

夏の午後3時過ぎ、山あいの広大な敷地で開催されていた大型音楽フェスでのことだ。強い日差しと気温33度を超える熱気の中で、大好きなアーティストのステージを楽しむため、私は水分補給用に冷たいペットボトル飲料を何本も一気に飲み干していた。

最初の異変は、お目当てのライブが始まる直前に訪れた、下腹部にずっしりと溜まるような急激な尿意だった。

私はタイダイ染めのTシャツに、デニムのショートパンツ、そして黒のハイソックスとスニカを履いていた。髪は両サイドで小さなお団子にまとめていたが、猛烈な尿意の波が来た瞬間から背中にツンと鳥肌が立ち、冷や汗が噴き出して顔に貼ったグリッターメイクをドロドロに溶かした。ショートパンツの下で、両脚をきつく交差させ、内ももをこれでもかと擦り合わせながら、簡易トイレの行列の最後尾に並んだ。

仮設の簡易トイレスペースには長蛇の列ができており、順番を待つだけで40分以上かかるという絶望的な社会的檻の中にいた。

尿意は波のように押し寄せ、最初は軽い差し込みだったものが、冷たいペットボトル飲料の利尿作用によって、お腹を刺激する凶悪な第二波、第三波へと変化していった。列は一向に進まず、簡易トイレ特有の蒸し暑さと臭気の中で、私は足元を小刻みにジタバタと動かすことしかできなかった。少しでも力を抜けば、多くの若者でごった返すこのフェス会場で粗想をしてしまうという恐怖が頭を支配した。「あと三人、あと数分……」と脳内で時間を逆算し、必死の思いで神に祈っていた。

恥ずかしさと、漏らしてしまうかもしれない極限の恐怖で、心臓の音が異常に大きく響き、耳の奥が熱くなって喉がカラカラに渇いた。

ようやく私の番が来て、プラスチック製の簡易個室に滑り込み、用を足した瞬間の、あの脳がとろけるような解放感は一生忘れられない。

今でも夏の野外ライブの重低音を聞くたび、あの時の冷や汗の感触と、行列の中で必死に足を震わせて耐えていた極限の感覚を思い出して股の奥がすくむ。

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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