英語スピーキングテストの密室
凍てつくような1月の午後2時前、高校のえいごスピーキングテストでのことだ。防音対策の施された狭い語学学習室(LL教室)には、ヘッドセットを装着した生徒たちが個別のブースに座り、パソコンの画面に向かって英語で話し続けていた。録音形式のため、試験中の私語や途中退席は厳禁だった。最初の異変は、試験開始直後、下腹部に走った冷たい尿意だった。
「スピーキングテストは一度席を立つと再受験できない……なんとかあと20分耐えなければ」と自分に言い聞かせたが、それが凄惨な戦いの始まりだった。
私はその日、冬用の制服である厚手のウールブレザーに、タイトな黒のチェックスカート、そして黒のタイツを穿いていた。LL教室は冷房と暖房の調整が難しく、足元から冷気が忍び寄って私の膀胱を容赦なく圧迫していた。急激な尿意の波が襲うたびに、全身に鳥肌が立ち、背中を冷たい汗が流れた。冷や汗で前髪が額に張り付き、きれいに描いたアイブロウがにじんで眉元が崩れているのが自分でも分かった。私はブースの机の下で、両脚を限界までクロスさせて太もも同士を強く擦り合わせ、ローファーの爪先を床に押し付けて膀胱を圧迫する尿意と戦った。ヘッドセットのマイクに向かって英語を話すたび、お尻や下腹部の筋肉が緩みそうになり、声が激しく震えていた。
ブースごとに録音されているため、不自然な声を出すわけにはいかず、他の生徒に気づかれる羞恥心という檻が私を席に縛り付けていた。尿意の第二波、そしてより凶悪な第三波が押し寄せるたび、私はブースの壁に体を押し付け、スカートの上から股間を片手で強く押さえて小さく震えた。息は荒くなり、頭の中は「あと何分? あと3問……」という計算だけで一杯だった。
社会的尊厳を失う恐怖と、極限状態で耐えるスリルに、頭の芯がジーンと痺れるような熱さを感じていた。
試験終了のブザーが鳴り、ヘッドセットを外した瞬間、私は椅子から立ち上がった。しかし、急激な運動で下腹部に激痛が走り、その場で足がすくんで立ち尽くしてしまった。涙目でカバンをお腹の前に抱え込み、内股を硬直させてすり足のまま、廊下の多目的トイレへと滑り込んだ。便座に座り、全てが一気に解放された瞬間の、頭の中が真っ白になるほどの快感。今でもヘッドセットのチャイム音を聴くたび、あの時の冷や汗の感覚と、股の奥がキュンとすくむ恐怖を思い出す。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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