嵐の夜の離島フェリー
荒れ狂う冬の12月の夜9時前、私は離島と本土を結ぶふぇりーの客室にいた。日本海の大しけの影響で船体は激しく上下左右に揺れており、波が窓に叩きつける轟音が響き渡っていた。船酔い防止のために客室のシートに横たわっていたが、急激な揺れの直後、私の下腹部にズキリとするような急激な腹痛が走った。
「次の港に到着するまであと30分……それまでこの激しい揺れの中で我慢しなければならない」という絶望が、私を支配した。
私はその日、旅行用のベージュのタイトなロングニットワンピースに、厚手のタイツ、そしてフラットシューズを履いていた。しかし、便意の第一波が襲った瞬間、全身に一気に鳥肌が立ち、冷たい汗が噴き出した。船の冷房と冷えのせいで、ワンピースの下の背中が冷たくなっていく。顔の血の気は一瞬で引き、メイクしたはずの肌が脂汗で崩れ、ファンデーションが白く浮き上がっていた。私はシートの上で膝を抱え込み、両脚を限界まできつくクロスさせて太もも同士を押し付け、お尻の筋肉を限界まで引き締めた。
大しけの海の上という、物理的に絶対に逃げ出せない極限の状況が私を追い詰めていた。さらに、激しいローリングとピッチングが容赦なく私の胃腸を刺激し、便意を加速させていく。漏らせば大人の尊厳を完全に失う。その恐怖から、心臓は早鐘のように激しく打ち鳴らされ、息を吸うことすら困難になっていた。便意の波はもはや誤魔化しの利かない第三波に達しており、下腹部をギシギシと激しい痛みが襲うたび、私はフラットシューズの踵を床に強く押し当て、括約筋が決壊寸前の水門のようになるのを必死に耐えた。
限会を超えた状態を他の乗客に悟られないようにする必死の交渉と、いつ大惨事になるか分からない極限のスリルに、頭の芯がジーンと痺れるような熱さを感じていた。
ようやく船が港に接岸し、下船の合図がかかった瞬間、私はタラップへと向かった。しかし、歩いた衝撃で腸が大きく動き、一瞬足がすくんで立ち止まってしまう。両手でお腹を抱え、内股を硬直させてすり足のまま、港の待合所の多目的トイレへと駆け込んだ。個室の便座に座り、お腹の痛みが一気に解消された瞬間の、頭の芯がとろけるような圧倒的な解放感。今でも船の汽笛を聴くたび、あの時の冷や汗の冷たさと、下腹部の激痛を思い出して胸がキュンとする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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