排泄物語

静寂の放課後と二つのリボン

投稿者: 生成エピソード集(エピソード151〜170)2分で読めます閲覧 1,2893.5(6件)

梅雨入り前の酷く蒸し暑い日の午後5時前、テスト前で静まり返った高校の自習室でのことだ。私は世界史の用語集をめくりながら、終わらない暗記作業に追われていた。空調の調子が悪く、室内はジメジメとした不快な熱気が満ちていた。 ……その時、斜め向かいの窓際の席に座っていた女子生徒が目に入った。

彼女は同じ学年の女子で、端正な顔立ちと成績優秀さで知られるクラスメイトだった。ブレザーを脱ぎ、白い長袖ワイシャツの上から薄手のクリーム色のカーディガンを羽織っている。紺色のプリーツスカートからは、規則正しい膝丈のソックスと黒いハルタのローファーが見えていた。髪は耳の上でツインテールにまとめられ、赤いリボンできっちりと結ばれていたが、湿気と尋常ではない汗のせいで、額にはりついた前髪が乱れていた。 最初はその端正な横顔をぼんやりと眺めていたのだが、彼女の不自然な硬直に気づいてから、私の意識はすべてそちらに向いてしまった。

彼女はシャープペンを持ったまま、右手をごく細かく震わせていた。よく見ると、左手は机の下でプリーツスカートの裾を力任せに握りしめており、爪が白くなるほどの力が入っている。 そして、机の下にある彼女の脚は、狂ったように内もも同士をすり合わせ、両膝を限界まで密着させていた。パンプスの中でつま先が不自然に丸められているのか、ローファーの革靴が床と擦れて「キシッ……」という微小な摩擦音を時折立てている。 完璧に施されたはずのナチュラルメイクは、額や首筋から流れ落ちる脂汗によってじわじわと崩れ、アイラインがわずかに目尻で滲んでいた。

彼女は猛烈な尿意と戦っている。それも、一歩でも動けばすべてが瓦解する極限の段階だ。 自習室は咳払い一つ響かない無音の空間。今立ち上がれば、椅子が引かれる不快な金属音が響き渡り、周囲の視線が一斉に自分に集まる。その社会的な死とも言えるプレッシャーが、彼女を座席という名の檻に縛り付けていた。 「あと……あと五分で、この自習枠が終わる……」と、彼女の薄い唇が声にならない交渉をくり返してワナワナと震えているのが見えた。眉間には深いシワが寄り、美しいはずの顔は苦痛で歪んでいた。

見てはいけないと思いつつも、彼女の全身から発せられる緊迫感と、呼吸を忘れたような喘ぎに、私の心臓は早鐘のように波打った。喉の奥が異常に乾き、耳の奥が熱くなる。 尿意の波は絶え間なく彼女を襲っていた。第二波、第三波が来るたびに、彼女は背筋を限界まで反らし、下腹部を机の角に強く押し当てて痛みを逃がそうとしていた。 しかし、その努力も限界だった。彼女の瞳にはじわりと涙が浮かび、目尻の滲んだマスカラが黒い滴となって頬を伝った。

「うっ……」 静寂の中に、押し殺した小さな呻き声が漏れた。その瞬間、彼女は弾かれたように席を立ったが、立ち上がった衝撃で膀胱への圧力が耐えきれなくなったのだろう。 彼女は両手でスカートの股間部分を上から強く圧迫したまま、内股の姿勢でその場に凍りついた。 ローファーの足元が小刻みに震え、膝が激しくがくがくと笑っている。 数秒間、息を止めて天を仰いでいた彼女は、やがて不自然なすり足で、這うようにして自習室の出口へと向かっていった。 今でも静かな空間に入るたび、あの赤いリボンが激しく揺れていた焦燥の瞬間と、私の胸を焦がしたあの日の緊張感を思い出して胸が苦しくなる。

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― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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