大講義室の長いスライド
肌寒い10月の午後2時過ぎ、私は大学の300人以上が入る大講義室で、必須科目の講義を受けていた。静まり返った室内には、プロジェクターのファン音と教授の退屈な語り口調だけが響いている。 最初の異変は、講義が始まって40分が過ぎた頃だった。 冷気で冷やされた下腹部に、ギュルルと不穏な激痛が走り、次の瞬間、強烈な便意の第一波が襲ってきた。
「うそ、あと50分もあるのに……」 私は焦ったが、この広い講義室は前後の席が階段状になっており、私が座っているのは中央の列のど真ん中だった。 席を立つためには、同じ列に座る10人以上の学生たちの前を横切り、静まり返った教室内で大きな音を立てて退室しなければならない。 その社会的な羞恥心と目立ちたくないという檻が、私を硬いプラスチックの椅子の上に縫い止めていた。 私はダッフルコートを膝にかけ、白いコットンスカートの中で、両膝を強く押し付け合い、お尻の括約筋をこれでもかと締め上げた。 足元はハルタのローファーだったが、つま先を内側に丸め、踵を交互に浮かせることで激痛を逃がそうとした。
便意の波は容赦なく、そしてより激しさを増して押し寄せる。 第二波が襲ってくると、私はお腹を抱え込むようにして上体を机に突っ伏した。 額からは大粒の冷や汗が流れ落ち、せっかくメイクした顔が脂汗でぐずぐずにヨレていくのが分かった。 「大丈夫、あと30分。スライドの説明さえ終れば……」と脳内で必死の自己交渉を試みるが、腸は私の意思を裏切るように再びゴロゴロと不穏な音を立てていた。 面白くで退屈なはずの講義の内容は一切頭に入らず、時計の針の進みの遅さに絶望する。 もし今ここで決壊してしまったら、私の大学生活は完全に終わる。その破滅的な結末への恐怖と、限界を締め続ける括約筋の摩擦感が、頭の中を真っ白に染め上げていった。
「それでは、今日の講義はここまでです」 教授の声が響いた瞬間、私は立ち上がろうとしたが、あまりの激痛と便意の波に襲われ、内股のまま体を硬直させた。 立ち上がれば確実に栓が抜けてしまう。私は机にしがみつき、顔を真っ赤にしてしばらく動くことができなかった。 周囲の学生が片付けを始める中、ようやく波が引いた一瞬を狙って席を立ち、私は廊下の女子トイレへとなだれ込んだ。 便座に腰を下ろし、熱い解放感を得た瞬間の全身の震えは、今でも大講義室のチャイムを聞くたびに股の奥が熱くなる引き金となっている。
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