展示会のブースと消えた照明
乾燥した11月の午後3時、私は東京ビッグサイトで開催されていた大規模なIT展示会の自社ブースに立っていた。ブース内には最新のシステムを見に来た多くの顧客が行き交い、周囲には他の出展企業の騒がしいマイクパフォーマンスが響いていた。 最初の異変は、午後一番の説明ステージが始まった直後のことだった。 下腹部にギューッと鉄の爪で握りつぶされるような、重苦しい便意が襲ってきたのだ。
「うそ、今このタイミングで……?」 私の頭は一瞬でパニックに陥ったが、この説明ステージは私一人がスピーカーとして登録されており、代わりは誰もいない。 今ここでステージを降りれば、自社の製品発表は台無しになり、会社の信用を著しく損ねることになる。その社会的な責任とプロ意識という冷酷な檻が、私をプレゼン台の前に強固に縫い止めていた。 私は制服のタイトスカートの中で、お尻の括約筋をこれでもかと締め上げ、両足の太ももをきつく交差させた。 姿勢を良く見せるための5センチのパンプスが、今は括約筋への圧力を強める拷問器具のようだった。
便意の波は容赦なく、そして段階的に強さを増して押し寄せる。 第二波、第三波が襲いかかるたび、私はマイクを握る右手を白くなるほど強く握りしめ、笑顔の裏で歯を食いしばった。 額からにじみ出る冷や汗がメイクを徐々にヨレさせ、首筋をタラリと伝い落ちるのを感じる。 「あと10分、説明が終るまで耐え抜くんだ」と自分に言い聞かせるが、お腹の奥でのたうち回るような鈍痛は激しさを増すばかりだった。 漏れそーという恐怖が頭を支配し、顔からは血の気が引いて白くなっていた。
「以上が、我が社の新製品の説明となります……っ」 ようやくステージが終了した瞬間、私は一歩を踏み出そうとしたが、あまりの便意の波に襲われ、内股のまま体を硬直させた。 脚ががくがくと震え、プレゼン台の影で膝を押し付けるようにして震えを逃がそうとした。 ステージを見に来た顧客からの個別質問に対応しながらも、頭の中は「今出たら人生が終わる」という焦燥だけで満たされていた。 質問対応が終わると同時に、私はブースを抜け出し、お尻をかばうようにしながら早歩きで会場の端の女子トイレへと急いだ。 個室に入って鍵を閉め、便座に滑り込んだ瞬間、全身の筋肉が融解するように弛緩した。 あの時の冷や汗の匂いと、限界の戦いは、今でも展示会の賑やかなマイクの音を聞くたびに私の股の奥をキュンとさせる。
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