夕暮れの河川敷と消えた焚き火
秋風が冷たく吹く10月の午後5時前、私は会社の同僚たちと多摩川の河川敷でバーベキューを楽しんでいた。周囲は楽しいおしゃべりとアルコールの熱気で盛り上がり、夕暮れの空に焚き火の火の粉が舞っていた。 最初の異変は、ビールを立て続けに3缶飲み干した直後のことだった。 冷気で冷やされた下腹部に、ギュルルと不穏な激痛が走り、次の瞬間、強烈な便意の第一波が襲ってきた。
「うそ、こんなタイミングで……」 私は焦ってトイレに向かったが、河川敷の臨時トイレは遠く離れたグラウンドの近くにしかなく、そこには花火大会の仮設トイレのように長い列ができていた。 遮るもののない河川敷という自然の檻の中で、他人の目があるという過酷な状況。 ここで列を離れれば、近くにトイレはなく、周囲は暗い藪ばかり。社会的な羞恥心を考えれば、この列に留まるしかなかった。 私はアウトドア用のチノパンツの中で、両脚を限界までピタリと合わせ、太ももをきつく擦り合わせた。 スニーカーを履いたつま先に力を込め、お尻の筋肉を限界まで締め上げた。
便意の波は段階的に強さを増し、お腹の奥でのたうち回るような激痛に変わっていく。 額から流れる汗が目に入り、アイメイクがドロドロに崩れていくのが分かったが、それを拭う余裕すら惜しかった。 「あと何人並んでいるの? お願い、早く進んで……」 心の中で何度も計算をくり返すが、列は一向に進まない。 私の膝は限界の緊張でガクガクと笑い、腰を引いた不自然な姿勢で立ち尽くすことしかできなかった。 両手で下腹部を強く圧迫し、呼吸を浅くくり返すことで、わずかでも便意を逃がそうと試みる。 騒がしいいい同僚たちの声が遠くから聞こえる中、私の呼吸は浅く荒くなり、心臓が壊れたように早く打ち鳴らされていた。 行くくこともできず、私はただお尻の筋肉を締め続けるしかなかった。
「っ、ふう……!」 最大の波が襲い寄せた瞬間、私は木立の幹に背中を押し当て、内股のままその場にしゃがみ込みそうになるのを必死で耐えた。 涙を流しながらお尻の筋肉を締め続けていた。 ようやく私の番が回ってきた瞬間、私は倒れ込むようにしてトイレのドアを開け、鍵を閉めた。 便座に腰を下ろし、すべての緊迫から解放された瞬間のあのとろけるような熱い安堵は一生忘れられない。 今でも秋の夜風を浴びるたび、あの時の冷や汗と限界の戦いを思い出して股の奥が熱くなる。
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