パンダ舎の行列と閉ざされたゲート
夏の強い日差しが照りつける8月の午前11時、私は上野動物園のパンダ舎の前にいた。周囲は夏休み中の家族連れや観光客でごった返し、2時間待ちの行列は牛の歩みのようにしか進まない。 最初の異変は、列に並んでから1時間が経過した頃だった。 下腹部にギューッと鉄の爪で握りつぶされるような、重苦しい便意が急襲してきた。
「うそ、今この状況で……?」 私は焦ってトイレに向かおうとしたが、行列は鉄製のフェンスで仕切られており、今さら列を抜けるには大勢の観光客とすれ違わなければならない。 さらに、一緒に並んでいる友人の期待を裏切りたくないという社会的なプレッシャーが、私を行列の中に拘束していた。 私はアウトドア用のショートパンツの中で、両脚を限界までピタリと合わせ、太ももをきつく擦り合わせた。 スニーカーを履いたつま先に力を込め、お尻の筋肉を限界まで締め上げた。
便意の波は段階的に強さを増し、お腹の奥でのたうち回るような激痛に変わっていく。 額から流れる汗が目に入り、アイメイクがドロドロに崩れていくのが分かったが、それを拭う余裕すら惜しかった。 「あと何分並んでいるの? お願い、早く進んで……」 心の中で何度も計算をくり返すが、列は一向に進まない。 私の膝は限界の緊張でガクガクと笑い、腰を引いた不自然な姿勢で立ち尽くすことしかできなかった。 両手で下腹部を強く圧迫し、呼吸を浅くくり返すことで、わずかでも便意を逃がそうと試みる。 走てトイレに行きたいという焦燥と、限界を締め続ける筋肉の感覚が混ざり合い、頭の芯がカアッと熱くなった。
「っ、ふう……!」 最大の波が襲い寄せた瞬間、私はフェンスの支柱に背中を押し当て、内股のままその場にしゃがみ込みそうになるのを必死で耐えた。 痛くでたまらないといった様子で、私は涙を流しながらお尻の筋肉を締め続けていた。 ようやく観覧ゲートを通過した瞬間、私はパンダを見るのも忘れ、お尻をかばうようにしながら早歩きで出口近くの女子トイレへと急いだ。 個室に入って鍵を閉め、便座に滑り込んだ瞬間、全身の筋肉が融解するように弛緩した。 あの時の冷や汗の匂いと、限界の戦いは、今でも動物園の賑やかな声を聞くたびに私の股の奥をキュンとさせる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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