静寂に包まれた大学図書館
初冬の冷たい風が窓を叩く11月の午後4時過ぎ、大学図書館の2階にある学術書閲覧エリアでのことだ。閲覧室は高い天井まで書棚に囲まれ、しんと静まり返っており、たまにページをめくるカサカサという音だけが響いていた。私はレポート作成のために近くの閲覧机に座っていた。……その時、斜め向かいの席で真剣な表情で文献を読んでいた女子学生の小野さんが視界に入った。
彼女は薄手のベージュのウールニットに、深いブラウンのロングフレアスカート、そして焦げ茶色の本革ローファーを履いていた。髪はハーフアップにされ、小さなゴールドのヘアピンが揺れていた。しかし、彼女が突然ペンを持つ手を止め、背筋をピンと跳ね上がらせた瞬間から、その上品な様子が一変した。
彼女は両手をお腹の前にきつく押し当て、背中を丸めて前傾姿勢のまま固まってしまった。額やこめかみにはみるみるうちに冷や汗がにじみ出し、綺麗にブローされた前髪が額にはりついている。ファンデーションが脂汗で浮き上がり、唇を噛み締めすぎてその端から血の気が失せて白くなっていた。急激な腹痛の第一波が彼女の腸を直撃したのだろう。
スカートの裾の下で、彼女は両膝をピタリと密着させ、ローファーのつま先だけで床を交互に擦るように小刻みにもじもじと脚を動かしていた。 「あと、あと15分……この章の要約を書き終えるまで……」 図書館の自習スペースという、立ち上がるだけでも椅子が床と擦れて大きな音が響く静寂の空間が、彼女をその場に縛り付ける檻となっていた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、彼女のお腹の中でゴロゴロと不快な音を立てて波打った。彼女は思わず「っ……ふぅ」と熱く苦しげな吐息を漏らし、机の角に下腹部を強く押し当てるように前傾して痛みを逃がそうと必死だった。見てはいけないと思つつも、彼女の太ももが限界の緊張でがくがくと震え、スカートの裾が不自然に揺れる様子から目が離せなかった。私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉がカラカラに渇いた。
限界に達したのか、彼女は机の上のノートを乱暴に閉じると同時に、お尻をかばう極端な内股の歩き方で閲覧室を飛び出した。廊下の奥の化粧室へと消えていったが、その背中には押し殺した絶望感が漂っていた。今でも静まり返った自習室の空気を感じるたび、あの時の彼女の限界の震えを思い出して耳の奥が熱くなる。
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