春のフラワーガーデン
春の麗らかな風が吹く4月の午後1時過ぎ、都心にある有名なフラワーガーデンの散策路でのことだ。周囲は満開のチューリップと、観光を楽しむ多くの人々で賑わっていた。
最初の異変は、園内の最も奥にある展望エリアに到着した直後だった。下腹部の奥深くで、ツンと刺すような鋭い尿意の第一波が走った。散策前にカフェで冷たいフルーツジュースを一気に飲み干したのが完全に裏目に出ていた。 「一番近いトイレまで徒歩15分……」 園内の案内図を見た瞬間、私の心に冷たい絶望が走り抜けた。
私はその日、薄ピンク色のシフォンワンピースに、白いローゲージカーディガン、そして歩きやすいフラットシューズを履いていた。髪はハーフアップに綺麗にまとめていたが、尿意の焦りによる冷や汗で額の生え際が濡れて前髪が額にはりついてしまった。顔からは完全に血の気が引き、鏡を見ずとも土気色になっているのが自覚できた。
広い公園という、すぐにトイレが見つからない極限の社会的檻が私をその場に留まらせていた。ワンピースの裾を両手でギュッと握りしめ、両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐える。しかし、尿意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部を貫くズキズキとした激痛に耐えかねて、私は何度もその場で腰を浮かせ、背筋を反らせて息を整えた。
「お願いだから、早くトイレが見えて……」 心の中で無意味な祈りを捧げ、遊歩道の先を何度も確認するが、一歩歩くたびに尿道が決壊しそうになり、一分がまる一時間のように感じられた。恥ずかしさと、多くの観光客の前で今にも漏らしてしまいそうだという恐怖が混ざり合い、心臓は早鐘のように脈打ち、頭の中が真っ白になった。
ようやくトイレが見えた瞬間、私は最後の一歩を踏み出したが、その場に崩れ落ちそうになった。涙目でワンピースの上から股間を強く圧迫し、がくがくと震える足元を支えながら、不自然な内股の姿勢で個室へ滑り込み、すべてを解放した。今でも春の花の香りを感じるたび、あの時の冷や汗の冷たさと股の奥がすくむ恐怖が鮮明によみがえる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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