冬のイルミネーション散策
凍てつくような12月の夜8時過ぎ、都心にある有名なイルミネーションスポットの散策路でのことだ。周囲は眩しい光に包まれ、観光を楽しむ多くのカップルや家族連れで賑わっていた。
最初の異変は、最も混雑するメインストリートの真ん中にいた時に訪れた。下腹部の奥深くがギリギリと雑巾を絞るように激しく収縮し、冷たい汗が背中を一気に流れ落ちた。寒風の中で長時間の立ち止まりと、直前に冷たいタピオカミルクティーを飲み干したのが完全に災いしたのだ。 「トイレまであと徒歩20分……しかも大行列が予想される」という状況が、私の心に冷たい絶望を刻み込んだ。
私はその日、上品な白のダッフルコートに、黒のタイトスカート、そして黒のタイツを穿いていた。髪はハーフアップに綺麗にまとめていたが、腹痛による冷や汗で額の生え際が濡れて前髪が額にはりついてしまった。メイクは寒風と腸内の激痛のせいで崩れ去り、丁寧に施したファンデーションが脂汗で浮き上がっていた。
周囲は多くの観光客で埋め尽くされており、逃げ場のない極限の社会的檻が私をその場に縫い止めていた。タイツの中で両腿をぎゅっと交差させ、内もも同士を強く押し付け合って耐える。しかし、便意の第二波、第三波は容赦なく襲ってきた。
「お願いだから、早くトイレに着いて……」 頭の中で残りの時間を逆算し、必死に自分と言い訳を交わしたが、お腹の激痛に耐えかねて、背中を冷たい汗がタラリと流れ落ちた。恥ずかしさと、多くの人々の前で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が混ざり合い、心臓は早鐘のように脈打ち、頭の中が真っ白になった。
ようやくトイレの個室に滑り込んだ瞬間、私はすべてを解放した時の天国のような解放感に包まれた。今でも冬のイルミネーションを見るたび、あの時の冷や汗の冷たさと股の奥がすくむ恐怖が鮮明によみがえる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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