深夜の国際空港ターミナル
冷たい木枯らしが吹き付ける12月の深夜十二時半過ぎ、成田国際空港の出発ロビーでのことだ。深夜便の搭乗手続きを待つ乗客でロビーは閑散としていたが、静まり返った大空間に自動ドアが開閉する音だけが静かに響いていた。最初の異変は、搭乗カウンターに並んでいる最中のことだった。下腹部の奥深くで、ズンと重くのしかかるような鈍い便意が静かに頭をもたげた。
「次の搭乗手続きが終わるまであと20分……いや、このカウンターを離れるわけにはいかない」と自分に言い聞かせたが、それが地獄の始まりだった。空港ロビーの冷たいエアコンの風が、私の膀胱と胃腸を急激に刺激し、急激な腹痛となって波打ち始めた。
私はその日、ゆったりとしたグレーのスウェットワンピースに、厚手のレギンス、そしてムートンブーツを履いていた。髪はリラックスできるようにシュシュで緩くまとめていたが、腹痛による冷や汗で額の生え際からだらだらと汗が流れ落ち、首元の襟元を濡らしていた。メイクは崩れ、ファンデーションが脂汗で浮き上がり、マスカラが滲んで目の周りが薄黒くなっているのが自分でもわかった。
搭乗カウンターの列という、途中で列を離れることが極めて困難な社会的状況が、私を肉体的にも精神的にも限界へと追い詰めていく。並んでいる間、私はスウェットの裾を両手でギュッと握りしめ、お尻の括約筋を極限まで締め付けた。レギンスの上から両手で股間のあたりを強く挟み込むようにし、内ももをこれでもかと密着させながら、時折その場で小さく足踏みをして耐えた。
便意の波は容赦なく第二波、第三波と押し寄せ、下腹部をギシギシと収縮させた。お腹のゴロゴロという不快な蠕動運動が周囲に聞こえないかという恐怖が頭を支配し、心臓は早鐘のように脈打っていた。顔面は完全に土気色になり、きつく噛み締めた唇からは赤みが消えて白くなっていた。 「あと5人、あと3人……」と、頭の中で狂ったように列の進み具合を計算するが、一歩動くたびにお尻の奥の門が決壊しそうになり、その場で動けなくなる。
恥ずかしさと、大衆の面前で今にも決壊してしまいそうだという恐怖が頭を支配し、喉がカラカラに渇いた。
ようやく手続きが終わり、私はパスポートをカバンに押し込み、不自然な内股の姿勢でトイレへ走った。一歩歩くごとに、お尻の奥で熱い塊が出口を求めて激しく自己主張し、涙目で顔を歪めながら個室へ駆け込んだ。便座に腰を下ろし、すべてを排出した瞬間のあの圧倒的な解放感は、今でも空港の保安検査場の金属探知機を見るたびに下腹部の奥をキュンと熱くさせる。
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