バラ満開の植物園
初夏の爽やかな風が吹き抜ける5月の日曜日、午後一時過ぎの都内にある植物園でのことだ。周囲は満開のバラを楽しむ観光客で少し賑わっていたが、園内の公衆トイレまでは広い砂利道を歩かなければならない状況だった。私はカメラを手に持ち、バラの花を撮影しながら歩いていた。……その時、近くの案内板の前で立ち往生している若い女性が目に留まった。
年齢は20代後半のハイキング客らしい女性。ベージュのマウンテンパーカーに、タイトな黒のストレッチパンツ、そしてトレッキングシューズを履いていた。髪は後ろでゆるくお団子にまとめられていた。しかし、彼女の様子に明らかな異変が現れた。
彼女はストレッチパンツの上から、両手で股間のあたりを強く挟み込むようにして、もじもじと脚を動かし始めたのだ。周囲には他に逃げ場となる建物はなく、次のトイレがあるレストハウスまでは徒歩で少なくとも15分はかかる状況だた。彼女はスマートフォンのマップを何度も確認していたが、その指先は白く震えていた。
ストレッチパンツの生地がパンパンに張るほど、彼女は両腿をきつくすり合わせ、膝を内側に折り曲げて小刻みに震えていた。額からは冷や汗の粒が浮き上がり、きれいに整えられた眉は苦しげに八の字に歪んでいた。寒さで赤くなった鼻先とは対照的に、頬の血の気は完全に引き、時折、痛みに耐えるようにギュッと目をつぶっては、薄い唇を強く噛み締めていた。
彼女は、猛烈な便意と戦っていた。園内という、物理的にも時間的にも逃げ場のない過酷な状況と、周囲に他の観光客がいるという社会的圧力が、彼女をその場に縫い止めていた。
便意の波が押し寄せるたび、彼女は「はぅ……っ」と熱く荒い吐息を漏らし、腰を低く落としてお腹を抱え込むようにして必死に耐えていた。見てはいけないと思いつつも、彼女の細い太ももが限界の緊張でがくがくと震え、パンツの裾が不自然に揺れる様子から目が離せなかった。私の心臓はバクバクと激しく脈打ち、喉が乾いて仕方がなかった。
ついに我慢の限界を迎えたのか、彼女はすり足のような不自然な足取りで、逃げるようにレストハウスへと向かった。今でも植物園に行くたび、あの時の彼女の限界の震えと、漂っていた切迫した空気感を思い出して胸がゾクゾクと熱くなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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