ハイキングの山道
初夏の爽やかな風が吹く5月のことだ。私は高校の遠足で、近くの山へハイキングに来ていた。班ごとの自由行動で、山頂を目指して緩やかな上り坂を歩いていた。 ……その時、私の少し前を歩いていた班の女子生徒が目に入った。
年齢は16歳、同じクラスの女の子。白いスポーツウェアに、ハーフパンツを穿いている。髪はポニーテールに結ばれ、ピンク色のリュックサックを背負っていた。 最初は楽しそうに友人と話していた彼女だが、中間地点を過ぎたあたりから急に足取りが遅くなった。
歩き方が、ひどく不自然なのだ。 彼女は数歩歩くたびに立ち止まり、内ももをすり合わせるようにして足をもじもじさせている。 山道の途中にはトイレがなく、次の休憩所まであと2キロはある。その状況が、彼女を心理的に追い詰めているのが手に取るように分かった。 顔は真っ赤に上気し、額の汗を拭うのも忘れて、お腹のあたりを抱えるように前かがみになって歩いている。
彼女は、猛烈な尿意と戦っている。 その事実に気づいた瞬間、私の喉はカラカラに渇き、目が彼女のハーフパンツの後ろ姿に釘付けになった。 見てはいけないと思いつつも、彼女が波に襲われるたびに木陰に身を寄せ、太ももをギュッと挟み込んで立ちすくむ姿に心臓が早く鼓動を打った。
尿意の第3波が彼女を直撃した。 彼女はついに歩くのを止め、道の脇にある木に寄りかかるようにしてうずくまった。 ハーフパンツの上から両手で股間を強く押さえ、顔を膝にうずめて小さく震えている。 「先に行って……」と息も絶え絶えに友人に伝える声が、静かな山道に響いた。
数分後、彼女は友人に抱えられるようにして、ほとんど引きずるような足取りで山道の茂みの奥へと消えていった。 今でも青葉の茂る山道を歩くたび、あの時の彼女の限界の表情と、新緑の中に漂っていた甘い汗の香りを思い出して胸が苦しくなる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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