高校時代・新年の初詣ときものの牢獄
高校生になった最初の正月、私は晴れ着として誂えてもらった「きもの」を身に纏い、新年の初詣へと向かいました。淡い桜色の振袖に、きらびやかな袋帯を高く結び、首元にはふんわりとした白いファーのショールを巻いておりました。髪は大人っぽくアップスタイルにし、螺鈿の簪を挿した姿は、自分でも少し背伸びをしたようで誇らしく思っていたのです。しかし、元旦の境内は容赦のない寒波に包まれておりました。砂利を踏みしめる草履の底からは氷のような冷たさが伝わり、和服の裾から入り込む冷たい北風が、私の太ももを容赦なく冷やしていったのです。甘酒をいただいて暖をとろうとしたのが、さらなる悲劇の引き金となりました。
参拝のための長い列に並び始めてから20分ほど経った頃、強烈な尿意の第一波が襲ってきたのです。冷気で収縮した膀胱が、これ以上は一滴も貯められないと叫んでいるようでした。周囲は新年の挨拶を交わす家族連れやカップルで溢れ返っており、厳かな雅楽の音が響く中、私一人だけが冷や汗をにじませておりました。和服の重なりは保温性に優れているようでいて、一度下半身が冷え切ってしまうと、何層もの布地が冷気を閉じ込める牢獄のようになってしまうのです。
「まだ、拝殿までは遠いかしら……」 数歩進んでは立ち止まる列の中で、私は必死に体内時計を動かし、トイレへ行くべきか、それとも参拝を済ませるべきか激しい葛藤に苛めておりました。尿意が波のように満ち引きを繰り返すたび、私はショールの下に顔をうずめ、歯をガチガチと鳴らして耐えました。着物の上品な所作を保つことなどとうに諦め、草履の中で白い足袋を履いた足の指をぎゅっと丸め、両内ももをこれでもかと密着させて震えておりました。長い袖の中で、汗ばんだ両手は下腹部を強く押し潰すように重ねられ、体裁を取り繕うことすら困難な状態に陥っていたのです。
冷たい外気の中で流れる脂汗が首筋を濡らし、寒さと焦りで意識が遠のきそうになりました。お腹の奥がキューッと鳴るたび、私は腰を落とし、お尻の筋肉を限界まで締め付けました。「神様、どうかお救いください」と、本来の願い事とはかけ離れた必死の祈りを捧げておりました。最後には、列を外れて境内の隅にある仮設トイレへと向かいました。重い振袖の袖を引きずらないように両腕に抱え、帯の結び目に阻まれながら、冷え切った指先できものの中で震えていた限界の感覚が、今でも正月を迎えて冷たい風を肌に受けるたびに、鮮明に脳裏をよぎるのです。
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