中学生の秋、クロスカントリー練習での洗礼
あれは私が中学2年生だった頃、10月の肌寒い放課後のことだ。当時所属していた陸じょう部の秋の恒例行事として、学校の裏手にあるなだらかな山道を使ったクロスカントリーの周回トレーニングが行われていた。私はすっかり汗ばんで、冷たい秋風が吹き抜ける中、規定 of 3往復目を走っていた。空気はひんやりとしていて、走るほどに乾いた息が白く曇るような気温だった。
最初の異変は、山道の折り返し地点を過ぎたあたりの、うっそうとした杉林の中で訪れた。下腹部にじわじわと染みるような、それでいて確実な尿意の予兆を感じたのだ。最初は「まだ大丈夫、あと2キロ走れば学校に戻れるし」と軽く考えていた。
だが、それがすべての悪夢の始まりだった。下り坂に入るにつれて、走る着地衝撃がダイレクトに膀胱を激しく揺さぶる。当時の部活指定の服装は、白の薄手コットンのTシャツに、紺色の非常にタイトなナイロン製のブルマ(ぶるま)だった。そのぶるまはサイズが少し小さめで、太ももの付け根を締め付ける硬いゴムが、走るたびにお腹の奥の尿意を容赦なく圧迫する。汗で濡れたTシャツが背中に冷たく張り付き、腰回りもしっとりと湿って不快極まりない。山道には当然トイレなどなく、立ち止まれば後ろから走ってくる先輩や同級生に追いつかれてしまう。絶対に漏らしているところなんて見られたくないし、サボっていると思われるのも嫌だった。その強烈な社会的圧迫感が、私を無理やり走らせ続けた。
2度目の強烈な尿意の波が襲ってきたとき、私は思わず「くぅ……っ」と声を漏らし、走りながら内ももをすり合わせるように不自然なステップを踏んだ。額からは冷たい汗が噴き出し、頭は真っ白。呼吸を浅くして、必死でお腹の筋肉に力を込める。下腹部がパンパンに膨らみ、今にも破裂しそうな水風船のようだ。髪を高い位置でポニーテールに結んでいたゴムが激しい運動で滑り落ち、乱れた髪が汗ばんだ顔にくっついて前が見えなくなる。顔をゆがめ、両手でぶるまの裾をギュッと握りしめて下腹部に押し当てるようにしながら、もがくように脚を前に出した。走るフォームは完全に崩れ、膝同士をぶつけるようにして走る姿は誰が見ても異常だったはずだ。
あと数百メートル、学校の校門が見えたときは涙が出そうだった。しかし、平坦なグラウンドに出た瞬間、膀胱が限界の悲鳴を上げ、私は完全に足を止めてしまった。その場にへたり込みそうになるのを防ぐため、両足を交差させて内股になり、お腹を抱え込んで激しく身悶えした。漏らしたら私の学校生活は終わる。その一心で、括約筋がちぎれそうなほど力を込めて耐えた。
校舎の裏にある古い屋外トイレになだれ込み、個室の木製の扉を閉めると同時に、震える手でぶるまのウエストのゴムを強引に引き下ろした。便器をまたぐと同時に、勢いよく熱いものが噴き出し、全身の強張りが一気に融解していった。あまりの勢いに、手や太ももにまで尿の温かい湯気がかかるほどだったが、そんなことを気にする余裕すらなかった。
あの時の、体中の水分がすべて抜け出ていくようなすさまじい解放感と、ギリギリで間に合ったというスリルは、今でも忘れることができない。あれ以来、走る前に必ずトイレに行くのが私の鉄則になったのだ。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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