高校生の夏、100m走のスタートブロック
高校2年生の7月、うだるような暑さの県陸上競技選手権大会でのことだ。私は女子100メートルハードルの代表として、予選の招集を終えて競技トラックの脇に立っていた。気温はゆうに33度を超え、ジリジリと照りつける太陽がアスファルトを熱していた。極度の緊張を和らげるためにスポーツドリンクを何度も口に含んでいたのが災いしたのだろう。スタートの約15分前、強烈な尿意の波が突然私を襲った。
「ここでトイレに行けば招集漏れで失格になる……」という絶対的なプレッシャーが、私をその場に縛り付けた。
競技場内の公衆トイレはどこも長蛇の列で、並んでいる時間はない。私の出番である第4組がレーンに呼び出されたとき、私の膀胱はすでに限界寸前の水門のようになっていた。着用しているのは、体にピッチリとフィットするセパレートタイプの陸じょう(りくじょう)用レーシングショーツとブラトップだ。薄い伸縮性のある生地は無情にも下腹部を締め付け、尿意をさらに凶悪なものへと変化させる。スタートブロックに足をかけ、前傾姿勢のクラウチングスタートの体勢をとった瞬間、下腹部にかかる尋常ではない圧迫感に頭の芯がカッと熱くなった。
「オン・ユア・マークス」のアナウンスが響く中、私は両手で体を支えながら、必死にお尻と太ももをきつく閉じた。脚がカタカタと震え、額からは日焼け止めと混ざり合った泥のような汗がポタポタと競技トラックの赤茶けたゴムの上に滴り落ちる。スターターのピストルが鳴るまでの数秒間が、まるで永遠の拷問のようだった。
「セット」のコールで腰を上げた瞬間、膀胱の括約筋が悲鳴を上げ、数滴がショーツにしみ出すのを感じて視界がチカチカと明滅した。号砲とともに走り出したものの、一歩踏み出す衝撃のたびに、今すぐその場でおしっこをぶちまけてしまいたいという狂おしい衝動と戦わなければならなかった。ゴールまでの100メートルが、何マイルもあるように感じられた。
走り終えた瞬間、ゴール後の減速スペースで私は歩くこともできず、内股のまま両手で股間を押さえてその場にしゃがみ込んだ。周囲の観客やスタッフの目が恥ずかしかったが、立ったら漏れてしまう。
なんとか立ち上がり、引きずるような足取りで補助競技場裏のトイレの個室に滑り込んだ。鍵をかけるのももどかしくショーツを引き下げると、すさまじい勢いでおしっこが便器へとなだれ込み、私の脳は快感で麻痺した。あの極限の恐怖と、そこからのあまりに甘美な解放は、今でも夏の日差しを浴びるたびに私の股の奥を熱くさせる。
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