オフィスの無言劇、キーボードの音に紛れて
社会人二年目の秋、午後五時過ぎの静まり返ったオフィスでのことです。その日は多くの社員が外出しており、フロアには私と、数人離れた席に座る先輩社員の二人だけしかいませんでした。室内に響くのは、乾いたキーボードのタイピング音と、時折鳴る複合機の動作音だけでした。
私はオフィスカジュアルとして、タイトな黒のペンシルスカートに、光沢のあるストッキング風の薄い黒タイヅ、そして五センチのヒールパンプスを履いていました。髪は後ろできっちりとハーフアップのクリップで留めていました。夕方までに仕上げなければならない重要な財務報告書の作成に追われていた私は、気づけば数時��もデスクから動いておらず、極限状態の尿意に達していました。
「この表の数値をすべて入力し終えるまであと二十分。今立ち上がれば、作業のテンポが崩れるだけでなく、先輩にサボっていると思われるかもしれない」と、私は論理的に作業効率を算出し、デスクでの我慢を開始しました。
しかし、限界に近い尿意は容赦なく下腹部に激しい圧迫感をもたらしました。キーボードを叩く指先が細かく震え、テンキーの入力ミスが急増します。私はデスクの下で両脚をきっちりと揃え、内ももを強く押し付け合いました。パンプスの踵で椅子の脚を強く挟み込むように固定し、少しでも膀胱への刺激を逃がそうと、上半身を前かがみにしてキーボードに覆いかぶさるような不自然な姿勢をとりました。
額からは冷たい汗が流れ落ち、オフィスメイクが汗で少しヨレて、眉間には隠しきれない苦悶の皺が寄っていました。時折襲う強い収縮の波に対し、私は「ふぅ……」と小さな吐息を漏らし、タイピング音に紛れ込ませるようにして腰を浮かせ、身を捩りました。静かなオフィスの中で、自分の衣擦れの音が異様に大きく感じられ、羞恥心と焦燥感で心臓が激しく波打っていました。
お腹の奥が痛みを伴って収縮するたびに、頭の中の論理的思考は崩壊しそうになり、ただ「あと五行、あと三行」と自分自身と取引を繰り返していました。
最終的にデータをシステムにアップロードし終えた時、全身の力が抜け、しばらく立ち上がることができませんでした。パンプスの中で足の指先をぎゅっと丸め、限界の緊張を維持しながら、静寂のオフィスで誰にも気づかれずに限界を超えた戦いを終えたことに、言葉にできない甘美な興奮を覚えたのです。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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