排泄物語

渋滞40キロ。おれの限界と空きペットボトルの話

投稿者: ハイエース万年床1分で読めます閲覧 7704.0(3件)

お盆の中央道。渋滞40キロにハマった。ハイエースは動かない。1時間で2キロ。カーナビの到着予定時刻が見るたびに延びる。朝コンビニで買ったコーヒー2本が効いてきた。利尿作用ってのは渋滞の中で本気を出す。

最初の尿意は昼前だった。まだ余裕だった。次のPAまで12キロ。普段なら10分の距離。だが車は動かない。30分後、二度目の波が来た。これは本物だった。下腹が張って、ハンドル握る手に汗が出た。シートの上で座り直す回数が増えた。貧乏ゆすりが止まらない。隣の車線のドライバーと目が合いそうで、前だけ見てた。

計算した。時速2キロならPAまで6時間。無理だと悟った。背筋に嫌な汗が伝った。路肩に停めて外でってのは論外だ。渋滞の車列で周りは全部他人の窓。前のミニバンにも後ろのセダンにも人が乗ってる。社会の目ってやつが、こういう時は檻になる。

三度目の波で覚悟を決めた。車中泊歴10年、こういう時の備えはある。後部に常備してる広口の空きボトルと目隠しカーテン。渋滞が完全に止まったタイミングで、カーテンを半分引いて、運転席から後ろに移った。手が少し震えてた。焦ってた。前の車が動き出したらって考えると気が急いた。

済ませた。情けないが背に腹はかえられない。安堵で変な声が出た。量は500のボトル8分目。我ながらよく我慢してた。膀胱ってのは限界を超えると量で自己主張してくる。背中と脇の汗が一気に引いていくのが分かった。

運転席に戻ったら、車列は50メートルも進んでなかった。焦って損した。笑うしかなかった。処理は次のPAのトイレで。ちゃんと流して、ボトルは洗って捨てた。駐車所の隅で手を洗いながら、妙な達成感があった。生き延びた、って感覚に近い。

この話を人にすると引かれる。だが長距離乗りなら分かるはずだ。漏らすか、ボトルか。おれはボトルを選んだ。それだけだ。お盆の渋滞は今年も来る。ボトルは新調した。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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