市民マラソンの給水所
爽やかな秋晴れの10月の日曜日、午前10時過ぎの市民マラソン大会でのことだ。私は20キロメートルのコースに参加しており、沿道の多くの声援を受けながら快調に走り続けていた。しかし、中間地点を過ぎた直後、最初の異変が起きた。急激な腹痛とともに、下腹部を締め付けるような鋭い便意が私を襲ったのだ。
「次の給水所の近くに仮設トイレがあるはず……それまでなんとか走らなければ」と自分に言い聞かせたが、走る振動がダイレクトに大腸を刺激し、激痛が波のように押し寄せてきた。
私はその日、薄手のピンクのマラソンウェアに、黒のスポーツレギンス、そしてランニングシューズを履いていた。髪はすっきりとポニーテールに結び、サンバイザーを着用していた。しかし、腹痛の第二波が襲った瞬間、全身に鳥肌が立ち、スポーツウェアが冷や汗でじっとりと濡れていくのを感じた。呼吸は浅く荒くなり、きれいに塗った日焼け止めが汗で流れて目に入り、激しくしみている。走るのを止めると一気に決壊してしまいそうで、私は不自然に歩幅を狭め、内ももをすり合わせるようにして走り続けた。下腹部をおさえるように前かがみになり、必死にお尻の括約筋に力を込め続けた。
何千人ものランナーが走り、沿道には大勢の観客がいるという社会的状況が私を追い詰めていた。もしここで力尽きれば、私のランナーとしてのキャリアもプライドも完全に崩壊する。その恐怖と焦燥感から、心臓は早鐘のように激しく鳴り響いていた。次の仮設トイレまでの距離が頭の中で無限に引き伸ばされ、一歩進むたびに「もう限界、本当に漏れる」という恐怖が脳内を支配していた。便意の波は誤魔化しのきかない第三波に達しており、冷たい風がレギンスを通り抜けるたびに腸がゴロゴロと悲鳴を上げていた。
羞恥心と、いつ決壊してもおかしくない極限のスリルに、頭の芯がカッと熱くなっていくのを感じていた。
ようやく給水所が見え、簡易トイレの前に到着したが、そこには5人ほどのランナーが並んでいた。その数分間は、私の人生の中で最も長い時間だった。両手でお腹と股間を押さえ込み、膝をガタガタと震わせながら、前の人が出てくるのをただ涙目で待っていた。個室に滑り込み、全てを解放した瞬間の全身の力が完全に抜けていく感覚。今でもマラソンランナーを見るたび、あの時の冷や汗の冷たさと、壊れそうだったお尻の痛みを思い出して胸がキュンとする。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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