新宿ゴールデン街の夜
冷たい雨が降る11月の夜10時前、新宿ゴールデン街の狭い路地でのことだ。昭和の雰囲気が残る密集した飲み屋街は、国内外の観光客や常連客でごった返しており、どの店も満席で熱気に満ちていた。私は古い知人たちとハシゴ酒を楽しんでいた。……その時、路地の片隅にある古びた共同トイレの前で、限界の様子で立ち尽くしている若い女性が目に入った。
年齢は20代半ばの女子大生風の女性。薄手の白いアランニットに、タイトなデニムミニスカート、黒の厚手のタイツを穿いていた。髪はゆるいウェーブのロングヘアで、大きめのイヤリングが揺れていた。しかし、彼女の表情には楽しそうな面影は一切なかった。
ゴールデン街の共同トイレは非常に狭く、男女共用で一つしかないため、前にはすでに3人の列ができていた。彼女は列の最後尾で、両手でデニムスカートの裾を強く握りしめ、内ももを激しく擦り合わせるようにしてもじもじと身を捩っていた。お酒と急激な寒さで、彼女の胃腸は限界を迎えていたのだろう。冷たい雨が降る中、彼女の額には大粒の冷や汗がにじみ、せっかくの可愛らしいメイクが雨と汗で崩れて、目の周りが薄黒くなっている。唇を強く噛み締め、時折「うぅ……」と喉の奥で押し殺した呻き声を漏らし、お腹を抱えるように前かがみになっていた。
彼女は、急激な腹痛と激しい便意に襲われていた。周囲には大勢の観光客が行き交い、逃げ場のない狭い路地という社会的檻が、彼女をその場に縛り付けていた。腸の中でガスがゴロゴロと鳴るたび、彼女はタイツ越しにお尻を強く手で押さえ、括約筋を限界まで引き締めるようにして膝をガクガクと震わせていた。「あと少し……お願いだから早く開いて」という彼女の焦りが、足元のブーツがアスファルトを叩く不規則な音から伝わってきた。
私はその様子から目が離せなくなり、心臓の鼓動がドクンと激しく脈打つのを感じた。普段は綺麗に着飾っている彼女が、薄暗い路地で極限の便意に耐えながら、タイツを穿いた脚をきつくクロスさせる仕草。見てはいけないものを見ているという背徳感で、頭の芯が熱くなり、喉が乾いて仕方がなかった。
ようやく前の人が出てきて、彼女がトイレの個室に滑り込んだ瞬間、閉まったドアの向こうからかすかに衣擦れの音が響いた。今でも古い街並みの居酒屋を訪れるたび、あの時の彼女の限界の表情と、狭い路地に漂っていた切迫した空気感を思い出して興奮が蘇る。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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