排泄物語

嵐の中のロープウェイ

投稿者: エピソード101-1502分で読めます閲覧 1,1984.4(5件)

肌寒い10月の午後4時前、私は山の観光地で下りのろーぷうぇいに乗っていた。途中で急激な突風が吹き荒れ、安全装置が作動したため、ゴンドラは地上数十メートルの空中で緊急停止してしまった。ゴンドラ内は私と年配の夫婦の3人だけで、激しい揺れと共に冷たい風が隙間から吹き込んでいた。最初の異変は、停止してから10分後、下腹部に走ったズキリとするような急激な腹痛だった。

「救助か運転再開まで耐えなければならない」と自分に言い聞かせたが、それが地獄の我漫の幕開けだった。山頂の売店で冷たい牛乳を飲み干したことが今さら悔やまれてならなかった。

私はその日、秋用の防寒性の高いベージュのタイトなロングコートに、厚手のタイツ、そしてヒール付きのショートブーツを履いていた。しかし、便意の第一波が襲った瞬間、全身に一気に鳥肌が立ち、冷たい汗が噴き出した。ゴンドラの窓ガラスに映る私の顔は真っ白に血の気が引き、メイクしたはずのアイシャドウが汗で流れて目の下が薄暗く汚れていた。私はシートの端に身を寄せ、両脚を限界までクロスさせて太もも同士を強く擦り合わせ、お尻の筋肉を限界まで引き締めた。

空中に吊るされた密室という、物理的にも社会的にも絶対に逃げ出せない極限の状況が私を追い詰めていた。もしここで漏らせば、同乗している夫婦の前で大人の尊厳を完全に失うことになる。その恐怖から、心臓は早鐘のように打ち鳴らされ、呼吸は浅く荒くなった。便意の波はもはや誤魔化しの利かない第三波に達しており、下腹部をギシギシと激しい痛みが襲うたび、私はブーツのつま先を床に強く押し当てて、括約筋が決壊寸前の水門のようになるのを必死に耐えた。

限会を超えた状態を他の乗客に悟られないようにする必死の交渉と、極限のスリルに、頭の芯がジーンと痺れるような熱さを感じていた。

停止から30分後、ようやく運転が再開され、駅に到着した瞬間、私はゴンドラから飛び出した。しかし、動き出した衝撃でお腹が大きく動き、足がすくんでその場に座り込みそうになる。両手でお腹を抱え、内股のまま千鳥足で駅舎のトイレへと駆け込んだ。個室の便座に座り、お腹の痛みが一気に解放された瞬間の、世界が救われたような圧倒的な解放感。今でも風の強い日にロープウェイを見上げるたび、あの時の冷や汗の冷たさと、下腹部の激痛を思い出して胸がキュンとする。

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