吹奏楽コンクールのステージ上
厳しい暑さの続く8月の午後1時半、県の吹奏楽コンクールが開催された大ホールのステージ上でのことだ。ステージは強力なスポットライトに照らされて灼熱のようでありながら、舞台裏や足元は冷房の冷気が吹き溜まっており、極端な温度差があった。私はフルートパートのリーダーとして最前列で演奏していた。最初の異変は、私たちの学校の演そう開始を告げるアナウンスが流れた直後の、下腹部に走ったズキリとするような尿意だった。
「演奏時間は12分……ステージが終わるまでは絶対に席を立てない」という極限のプレッシャーが、私を凍りつかせた。
私はその日、コンクール用の制服である白いシャツに、タイトな黒の膝丈スカート、ストッキングと黒のローファーを履いていた。髪はすっきりと一つに結んでいた。しかし、演奏が始まってすぐ、尿意は急速に悪化していった。ステージのスポットライトによる汗と、冷気による冷や汗が全身から噴き出し、背中のシャツがじっとりと張り付いていく。緊張で顔の血の気は完全に引き、メイクが汗で崩れて眉尻がにじんでいる。私はフルートを構えながら、スカートの裾の中で両膝を限界までくっつけ、内ももを強く擦り合わせるようにして脚をもじもじと動かした。
ホールの満員の観客と審査員の厳しい視線、そして自分の一挙一動が学校の評価につながるという重苦しい社会的状況が私を座席に縛り付けていた。演奏がソロパートに近づくたび、心臓は早鐘のように激しく鳴り響き、息を吸うことすら困難になっていた。尿意の波はもはや誤魔化しの利かない第三波に達しており、下腹部をギシギシと鋭い痛みが襲うたび、私はローファーの中でつま先を強く丸め、お尻の筋肉を極限まで引き締めた。フルートの息を吹き込むたびにお尻の力が抜けてしまいそうで、ただ頭の中で「お願い、もって!」と神に祈り続けた。
恥ずかしさと、いつ決壊してもおかしくないステージ上での極限のスリルに、頭の芯がジーンと痺れるような熱さを感じていた。
演奏が終了し、一礼してステージを降りた瞬間、私は楽器を同僚に預けた。しかし、急に歩き出した衝撃で膀胱が圧迫され、一瞬その場で足がすくんでしまう。両手でお腹を押さえ、内股を硬直させてすり足のまま、舞台裏の楽屋用トイレへと走り込んだ。個室の便座に座り、温かい尿が一気に解放された瞬間の、頭の中が真っ白になるほどの解放感。今でも吹奏楽のファンファーレを聴くたび、あの時の冷や汗の感覚と、股の奥がキュンとすくむ恐怖を思い出して胸が締め付けられる。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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