排泄物語

通勤ラッシュの地下鉄停止

投稿者: エピソード101-1502分で読めます閲覧 6474.3(3件)

肌寒い11月の朝8時半、満員のちか鉄東西線の車内でのことだ。前を走る電車が急ブレーキをかけた影響で、私の乗っていた車両は駅と駅の間の暗いトンネル内で急停車してしまった。車内は乗客の熱気と緊迫感で息が詰まるような空気だった。私はドアの近くに立っていた。……その時、私のすぐ目の前に吊り革を握って立っていた女性の異変が目に入った。

年齢は20代後半の仕事帰りのOLらしい女性。上品なキャメル色のテーラードジャケットに、タイトな黒の膝丈ペンシルスカート、そして黒のストッキングと7センチのピンヒールを完璧に履きこなしていた。ハーフアップにまとめられた髪は艶やかだったが、電車の停止から15分が経過した頃から、彼女の様子が急変した。

満員電車の狭いスペースの中で、彼女は両手で自身の革製ハンドバッグをお腹に強く押し当て、両膝をこれ以上ないほどきつく合わせて内ももを激しく擦り合わせるようにしてもじもじと身を捩り始めたのだ。トンネル内での停車のため、次の駅までいつ動くか全く分からないという絶望的な状況が彼女を焦らせていた。額や首筋からは大粒の脂汗が流れ落ち、綺麗に整えられていたメイクが汗で崩れ、アイライナーがにじんで目元が黒く汚れている。眉間には深いシワが刻まれ、苦痛で顔が真っ白に青ざめていた。

彼女は、急激な腹痛と猛烈な便意の波に襲われていた。逃げ場のない満員電車という社会的檻が、彼女をその場所に縛り付けていた。腸の中でガスがゴロゴロと鳴るたび、彼女はバッグ越しにお腹を強く押し、括約筋を限界まで引き締めるようにしてピンヒールの踵をガタガタと震わせていた。「あと少し……早く動いて」という彼女の絶望が、強張った指先から伝わってきた。

私はその様子から目が離せなくなり、心臓の鼓動がドクンと激しく脈打つのを感じた。普段は知的でクールな大人の女性が、満員電車の密室で極限の便意に耐えながら、タイトスカートの中で脚をきつく合わせて震える仕草。見てはいけないものを見ているという背徳感と限会状態の気配に、私の胸は激しく高鳴っていた。

ようやく電車が動き出し、次の駅に滑り込んだ瞬間、彼女は開いたドアからホームへ飛び出した。しかし、歩いた衝撃でお腹が大きく動き、一瞬足がすくんで立ち止まる。両手でお腹を抱え、極端な内股のすり足のまま、階段の上の多目的トイレへと消えていった。今でも地下鉄の急停車の警告音を聴くたび、あの時の彼女の限界の表情と、忘れられない極限の我慢の姿を思い出す。

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