夜桜のビアガーデンの片隅
肌寒い4月の夜8時半、上野公園の桜並木の近くに設営されたお花見ビアガーデンでのことだ。満開の夜桜がライトアップされる中、大勢のサラリーマンやOLたちが冷たいビールを酌み交わし、賑やかな笑い声が響き渡っていた。私は部署の懇親会に参加していた。……その時、仮設トイレの長い列から少し離れた桜の木の陰で、限界の様子で佇んでいる女性社員が目に入った。
年齢は25歳の先輩社員。薄手のピンクのニットワンピースに、黒のストッキング、そして上品なポインテッドトゥパンプスを履いていた。髪は艶やかな黒髪で、小ぶりのフープピアスが揺れていた。しかし、彼女の表情には楽しそうな様子は一切なく、ただ夜桜の下で凍りついていた。
仮設トイレの前には20人以上の長い列ができており、お酒と急激な夜の冷え込みで、彼女の尿意は完全に限界に達していた。彼女は桜の木の幹に体を押し当て、両手でワンピースの裾をギュッと握りしめ、内ももを激しく擦り合わせるようにしてもじもじと身を捩っていた。額には冷や汗の粒が浮き上がり、綺麗に施されたメイクが汗で崩れ、涙目で眉を八の字に歪めていた。
彼女は、猛烈な尿意と戦っていた。お花見の賑やかな雰囲気の中、会社の同僚たちに見られるかもしれないというプレッシャーが彼女をその場に縛り付け、猛烈な我漫を強いていた。尿意の波が押し寄せるたび、彼女はパンプスの踵を小刻みに上下させ、両膝を限界まで内側に折り曲げて震えていた。時折「はぅ……」と喉の奥で押し殺した吐息を漏らし、お腹を抱えるように前かがみになっていた。
私はその様子から目が離せなくなり、心臓の鼓動が激しく高鳴るのを抑えられなかった。普段はしっかり者で知的ナ先輩が、薄暗い桜の木陰で極限の尿意に悶え、脚をきつく合わせて震える仕草。見てはいけないものを見ているという背徳感で、頭の芯が熱くなり、喉が乾いて仕方がなかった。
ようやく彼女の番が近づき、仮設トイレの個室に滑り込んだ瞬間、閉まったドアの向こうからかすかに衣擦れの音が響いた。今でも夜のサクラを見るたび、あの時の彼女の限界の表情と、漂っていた切迫した空気感を思い出して興奮が蘇る。
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※ 掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。
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