排泄物語

出発ロビーの限界契約

投稿者: はるか2分で読めます閲覧 1,0714.1(9件)

二十八歳になった今年の夏、出張のために訪れた羽田空港での出来事だ。八月の長期休暇シーズンということもあり、出発ロビーは旅行客で溢れ返っていた。私が乗る予定の便の保安検査場前には、蛇行しながら果てしなく続く長蛇の行例が形成されていた。私は仕事着である黒のタイトなスラックススーツに、白いブラウスを合わせ、足元はヒールの低いパンプスを履いていた。髪はすっきりと後ろでポニーテールに結び、手にはキャリーケースと搭乗券を握りしめていた。しかし、この保安検査の列こそが、私にとって最大の社会的な檻となった。

列に並んですぐ、午前八時十五分頃に最初の予兆が訪れた。朝、慌てて空港のカフェで流し込んだアイスコーヒーが、エアコンでしっかりと冷やされたロビーの空気によって、急速に尿意へと変わったのだ。「検査を通れば中にトイレがあるはず」と軽く考えて並び続けたが、列の進みは信じられないほど遅かった。私の前後に並ぶビジネスマンや家族連れはイライラしながら時計を見つめており、検査場を抜けるまであと三分以上はかかる見込みだった。今ここで列を離脱すれば、搭乗時刻に間に合わなくなり、出張先の重要な会議に遅刻してしまう。その強烈な社会的責任感が、私をその場に縛り付けた。

私は自分自身と「鉄の契約」を交わした。「仕事に穴を開けることは絶対に許されない。保安検査を通過し、搭乗口のトイレに駆け込むまでは絶対に耐え抜く。私のプロ意識にかけて、一滴たりとも漏らしてはならない」。しかし、尿意の第二波は容赦なく押し寄せ、私の下腹部に強烈な熱と痛みを走らせた。私はキャリーケースのハンドルを両手で強く握りしめ、体重を預けるようにして前かがみになった。手の平は冷や汗で滑り、スラックスのポケットに無理やり両手を突っ込んで下腹部を押しつぶすように固定した。

午前八時四十五分、検査機の直前に達した頃、私の尿意は完全に限界の第三波に達していた。膀胱は破裂寸前の水門のようにギリギリと音を立てており、足元のパンプスの中でつま先をきゅっと丸め、両太ももを限界まで擦り合わせるようにして交差させた。額からは脂汗が流れ落ち、夏用の崩れにくいメイクも完全に浮き上がって涙と混ざり合っていた。顔は苦痛と焦りで醜く歪み、呼吸は浅く荒くなっていた。周囲の視線が痛いほど突き刺さる中、私はただ機械的に一歩ずつ足を前に進め、括約筋にこれまでにない力を込め続けた。

「トレイに荷物を置いてください」。スタッフの声に従う際、前かがみになる姿勢の変化が膀胱を激しく圧迫し、思わず「くっ……」と声が漏れた。金属探知機のゲートをくぐる瞬間は、まるで処刑台に上がるような恐怖と、極限の我慢がもたらす奇妙な高揚感で頭の芯が真っ白になった。

検査を抜けた瞬間、私は荷物とキャリーケースを引っ掴み、両足をクロスさせた不自然な早足で、目の前にある化粧室の個室へと飛び込んだ。

個室のドアを閉め、スラックスと下着を一気に引き下げて便座に座り、限界の尿を一気に解き放った瞬間、頭からつま先までがとろけるような凄まじい快感と解放感に満たされた。今でも空港の保安検査場の長い行例を見るたびに、あの夏の朝の心臓が張り裂けそうな焦燥感と、下腹部を襲った激しい灼熱感を思い出して、股の奥が熱く疼くのを抑えきれない。

― この話は、これにて ―

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掲載されている話は、読者投稿・創作をもとにした読み物(フィクション)です。実在の人物・団体・場所とは一切関係ありません。

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